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Channel: 京都大学 大学院文学研究科・文学部
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人文知連携共同研究会

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「人文知連携共同研究会」について

京都大学大学院文学研究科は、2019年4月に文化財総合研究センターと研究科附属ユーラシア文化研究センターを再編・統合し「文学研究科附属文化遺産学・人文知連携センター」(CESCHI/セッシ)を設立しました。新センターは文化遺産学研究施設と人文知連携拠点から構成され、文学研究科がこれまで培ってきた豊穣な人文学諸分野を連携・総合する研究を推進するとともに、その成果を組織的に発信するための取り組みを推進することを目的としています。特に人文知連携拠点においては、文学研究科の専修・専攻の枠組みを超えて、異質な知や価値の共存に資する学術的知見を共同して探求し、新たな人文知の創成に貢献することが求められています。本拠点のこのような目的を実現するために、本研究科では、複数の専修・専攻に属する文学研究科教員をメンバーとする共同研究プロジェクトを進めております。

研究課題名 研究課題名(英語) 研究代表者 研究の目的
古代人の感情に関する共同研究 Joint Research into the Emotions in the Ancient World 高橋 宏幸(西洋古典学専修) 本研究は、古代ギリシア・ローマ時代に生きた人々の感情を考察することを目的とした共同研究である。「感情」は、文学・哲学から社会学や心理学、そして医学に至るまで、実に多くの分野が関わることができる研究テーマである。しかし、異なる研究分野を専攻する者が、研究の観点や方法の違いを相互に理解しつつ共同で考察を進めることは、実際には容易ではない。幸い、文学研究科には古代ギリシア・ローマ時代の文学・哲学・歴史学を研究・教育する専修が設置されており、他の分野の研究を尊重しつつ連携する環境が整っている。また、文学・哲学・歴史学の研究法では文字情報を扱うが、古代の人々の感じ方を知るためには、考古学的情報も重視すべきであり、その点でも文学研究科では考古学専修の貢献を期待できる。本研究では、西洋古典学、西洋哲学史古代、西洋史学に考古学も加えた4専修の教員が共同して、感情というテーマに挑戦する。この大きな問題に対して4専修で1つの解答を得ようとするのではなく、個々の分野の研究の発展に共同研究の議論や成果を反映させることが目的となる。
人文学の方法論 Methodology of Humanities 伊勢田 哲治(科学哲学科学史専修) 人文学の諸分野における方法論を比較検討し、言語化していくことが本研究の目的である。

自然科学や社会科学の諸分野では、大まかに、問題を立て、その問いに答える手段を明確にし、実験や観察を行って答えを出し、それについてさらに考察を加える、といった、研究の典型的なながれについてのイメージがあって、論文もそうした流れにそって構成される。人文学においてそれに相当するプロセスのイメージは非常に漠然としているが、「よい研究」や「悪い研究」が存在する以上、やはり方法論的な規範はそれぞれの分野にあるはずである。それを明らかにすることが本研究の大目標である。

もちろん、人文学と一口に言っても、哲学、歴史学、文学等のそれぞれの分野において、研究対象も研究対象へのアプローチの仕方は異なるし、人文学のそれぞれの領域の中でも必ずしも方法論が一致するわけではない。そういう意味で、「人文学の方法論」という単一のものがあるとは考えにくい。とはいえ、それは自然科学や社会科学も多かれ少なかれ同じことである。そうした方法論の多様性をとらえることも本研究の目的である。

もう一つ本研究が目的とするのは、人文学の方法論について抽象論を超えた言語化を試みていくことである。「テキストを丹念に読み、正しく解釈する」といった、漠然とした仕方であれば「方法論」を述べるのは簡単だが、「丹念に読む」とか「正しく解釈する」とかといったことはさらに具体的には何を意味するのだろうか。これは非常に困難な課題であるが、実は、社会科学の質的研究は、同じような困難をかかえつつも方法論を言語化してきた歴史を持つ。人文学の方法論の言語化において大きな参考となるだろう。


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