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『中国思想史研究』

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『中国思想史研究』

『中国思想史研究』(Journal of History of Chinese Though)とは、京都大学中国哲学史研究会の学術研究誌である。同会会員による中国思想史に関する研究論文などを収載。

1993年、第3回「蘆北賞」(學術誌部門)を受賞。

購読等に関するお問い合わせ

郵便 〒606-8501 京都市左京区吉田本町京都大学文学部中国哲学史研究室内 京都大学中国哲学史研究会

電話 075-753-2755

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『中国思想史研究』既刊号一覧

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◆各号の掲載論文及び執筆者◆

第三十九号(定価1500円)最新号

朱熹における四書注釋の「説明」實踐知の所在(市來津由彦)
王弼の終始論(趙ウニル)
繪畫理論における「邪甜俗賴」とその周邊について(王俊鈞)
敖繼公『儀禮集説』と朱子『儀禮經傳通解』-その繼承と修正(廖明飛)
豐穰な知の世界-退溪學成立前夜の朱子學をめぐって(3)-(川原秀城)

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第三十八号(定価1500円)

『顏氏家訓』における學問と保身(田中一輝)
題記を有つ麴氏高昌國時代の二つの佛經斷片(西脇常記)
豐穰な知の世界-退溪學成立前夜の朱子學をめぐって(2)-(川原秀城)

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第三十七号(定価1500円)

胡宏と朱子―兩者の相異の根源としての經書理解(福谷彬)
敖繼公『儀禮集説』における鄭玄注の引用と解釋(廖明飛)
劉師培の義例觀と劉氏家學―繼承から發展へ(田訪)
豐穰な知の世界-退溪學成立前夜の朱子學をめぐって(1)-(川原秀城)

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第三十六号(定価1000円)

擲錢法に對する桃源瑞仙の講抄(近藤浩之)
王弼の聖人論(趙ウニル)

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第三十五号(定価1500円)

顔之推における『顔子家訓』と『冤魂志』(池田恭哉)
「形」についての再考(宇佐美文理)
劉師培における『左傳』の義例觀(田訪)

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第三十四号-池田秀三教授退職記念論集-(定価2500円)

『性自命出』の性情論(鄭宰相)
天の時、地の利を推す兵法―兵陰陽の占術理論―(武田時昌)
『孟子』と『五行』(末永高康)
『春秋穀梁傳』の敬について(木村亮太)
小學と書(宇佐美文理)
魏晉の明堂改制論と王肅の五帝説(南澤良彦)
傳・訣・經―上清經の形式についての略論(金志玹)
「溥天之下、莫非王土」攷―隱逸と節義―(池田恭哉)
『劉子』における理想的人格(龜田勝見)
血字經の淵源と意義(村田みお)
初唐におけるモジュール的思考について―類書・正義そして楷書―(木島史雄)
道信と天台止觀(古勝亮)
『周易集解』所引の鄭玄易注について(仲畑信)
佛教と道教の間―禪籍に見える用例から―(坂内榮夫)
朱子の「心」(孫路易)
王棟の致良知否定論―致良知説の尖鋭化―(中純夫)
明萬暦版リッチ編・畢懋康演・余永寧刊刻の『乾坤體義』について(馮錦榮)
劉師培の『國學發微』について―中國における「國學」成立の一側面―(末岡宏)
池田秀三教授著作目録

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第三十三号(定価1500円)

『管子』の心術と内業再探(金東鎭)
『道教義樞』序文に見える「王家八竝」をめぐって―道教教理學と三論學派の論法―(麥谷邦夫)
『春秋左傳讀』に於ける章太炎の思考法と左傳觀(田訪)

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第三十二号(定価1500円)

五星會聚説の數理的考察(下)―秦漢における天文暦術の一側面(武田時昌)
春秋災異説の展開における災異事例の選擇と變貌(木村亮太)
近代中國禮學研究の苦境と突破(彭林・池田恭哉[譯])
黄侃<禮學略説>詳注稿(三)(池田秀三)

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第三十一号(定価1500円)

五星會聚説の數理的考察(上)―秦漢における天文暦術の一側面(武田時昌)
模倣の價値(宇佐美文理)
顏之推の學問における家と國家(池田恭哉)
『二入四行論』雜録第一の話者(古勝亮)

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第三十号(定価1500円)

元嘉暦と戊寅暦とにおける定朔平朔論議(南澤良彦)
劉炫の『孝經』聖治章講義(古勝隆一)
朱子學的君主論―主宰としての心―(田中秀樹)

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第二十九号(定価1500円)

道家新メンバーについての考察―兼ねて『易』繫辭傳は道家の著作に非ざるを論ず―(周桂鈿 著・石立善譯)
「黄庭内景經序」小考―その成立と性格について―(金志玹)
佛教圖像と山水畫―盧山慧遠「佛影銘」と宗炳「畫山水序」をめぐって―(村田みお)
『祕書監致仕呂府君墓誌銘并序』をめぐって(坂内榮夫)黄侃〈禮學略説〉詳注稿(二)(池田秀三)
父湯淺廉孫の思ひ出(石川澄代)

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第二十八号(定価2500円)
宗鑑撰『釋門正統』について(西脇常記)
婦人病の醫學思想(武田時昌)
『晦庵先生語録大綱領』攷―附録朱子・范如圭・程端蒙・李方子の佚文―(石立善)
研究ノート・黄帝研究―漢代思想史研究分野を中心に(伊藤円)
黄侃〈禮學略説〉詳注稿(一)(池田秀三)

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第二十七号(定価1500円)
点・線・面―六十述学(周桂鈿著・伊藤円訳)
物化小考(末永高康)
荀子の吊実論―単吊と兼吊の問題を中心に―(鄭宰相)
皇帝の権威と儒家―孔子の位置づけをめぐって―(永渕正是)

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第二十六号(定価1500円)
劉劭『都官考課』とその批判をめぐって(東川祥丈)
『論衡』と『史通』(福島正)
王陽明の「良知《の再検討(孫路易)
『論衡』の縁よりして日本の縁に及ぶ(周桂鈿著・池田秀三訳)
弔湯浅幸孫先生文(池田秀三)
湯浅幸孫吊誉教授著作目録続

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第二十五号(定価1500円)
歴史伝承に対する王充の事実認識の諸問題(山花哉夫)
『論衡』における河図・洛書について(山口円)
「雑家類小考」(宇佐美文理)
劉宗周の「学言」について―慎独説から誠意説へ―(中純夫)

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第二十四号(定価1500円)
何休の考えた歴史(内山俊彦)
初期養生説と早期医学―内因論の系譜―(白杉悦雄)
「定命論」考(亀田勝見)
法琳の三教論によせて(中西久味)

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第二十三号(定価1500円)
読書箚記三題(吉川忠夫)
前漢期法政に見える法律観についての一考察(東川祥丈)
貙劉考(村田浩)
中国思想研究者のためのインターネット資源簡介(麥谷邦夫)

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第二十二号(定価1500円)
王充の著述意識(山花哉夫)
『周易集解』所引の王弼易注について(仲畑信)
宋代(九六○~一二七九)における仏教史書(西脇常記)
王蘋の生涯と師承(小笠智章)

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第二十一号(定価1500円)
輯佚の難と校讐の難(池田秀三)
文明に至るための権道―梁啓超における宗教と専制―(李惠京)
康有為の「気」の再検討(孫路易)

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第二十号(定価1500円)
伝達者としての欧陽修―減少に赴く思考―(藤井京美)
心と矩―顧憲成における朱子学と陽明学―(中純夫)
明末清初における黄百家の生涯と著作(馮錦栄)

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第十九号―内山俊彦教授退官記念論集―(定価3500円)
王充の歴史意識について(内山俊彦)
性善説再考―『孟子』尽心下第二十四章をてがかりに―(末永高康)
雁の四徳について(小林清市)
搊益の道、持満の道―前漢における易の台頭―(武田時昌)
『漢書』郊祀志の「泰一」の祭祀について(村田浩)
王粛の災異思想(南澤良彦)
王弼『論語釈疑』について(仲畑信)
「大晋龍興皇帝三臨辟雍皇太子又再莅之盛徳隆煕之頌」にみる晋初の礼学とその実践(木島史雄)
山水画と風景詩(宇佐美文理)
『神仙伝』再検討のために―諸本における仙伝の配列から見て―(亀田勝見)
『大道論』攷―唐代道教と洪州禅―(坂内栄夫)
程伊川の思想における〈養気〉をめぐって(小笠智章)
『救荒本草』考(白杉悦雄)
銭緒山の思想について―王龍渓・羅念庵を通じて―(呉震)
顧炎武―礼への復帰―(李惠京)
梁啓超にとってのルネサンス(末岡宏)
内山俊彦教授著作目録

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第十八号(定価1200円)
『史通』と『資冶通鑑』(福島正)
董仲舒春秋災異説の再検討(末永高康)
清末の礼学について―劉師培「逸礼考」をめぐって―(末岡宏)

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第十七号(定価2000円)
成玄英と三論教学についての一試論(中西久味)
『淮南子』の類(村田浩)
葛洪における運命の問題(亀田勝見)

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第十六号(定価2000円)
読風俗通義皇覇篇札記(池田秀三)
魏晋における太極論の展開(仲畑信)
程伊川の”気”をめぐって(小笠智章)

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第十五号(定価2000円)
無善無悪論について―陽明学を中心に―(呉震)
一陰一陽と三陰三陽―象数易と『黄帝内経』の陰陽説―(白杉悦雄)
董仲舒陰陽刑徳説について(末永高康)

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第十四号(定価2000円)
『管子』における「管仲」の候気の世界(久富木成大)
宋代における『史通』(西脇常記)
『淮南子』と災異説(村田浩)

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第十三号(定価2000円)
楊泉とその思想(内山俊彦)
招魂をめぐる礼俗と礼学(木島史雄)
「致知格物」論の構図(柳田裕延)
重澤俊郎博士著作目録

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第十二号(定価2000円)
『斉民要術』にみる醸造の呪術(小林清市)
明末における易学の展開―黄道周の『易象正』をめぐって―(馮錦榮)
戴震と西洋暦算学(川原秀城)

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第十一号(定価2000円)
漢代の淮南学―劉向と許慎―(池田秀三)
干宝易注の特徴(仲畑信)
劉師培の春秋学(末岡宏)

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第十号(定価2000円)
『易緯乾元序制記』所載の易緯佚文について(武田時昌)
王粛の政治思想―「感生帝説」批判の背景―(南澤良彦)
方以智の思想―方氏象数学への思索―(馮錦榮)

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第九号(定価2000円)
陸疏の素描(小林清市)
欧陽脩の学問と芸術論(宇佐美文理)
『正蒙』太和篇の一条について―「気」の認識形態―(木下鉄矢)

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第八号(定価2000円)
列子與漢魏晋思想(荘萬壽)
『千唐誌齊藏誌』に見える唐代の二三の習俗について(西脇常記)
邵雍と張載の思想における〈神〉の意義(小笠智章)
養老律令考辨二則(湯浅幸孫)

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第七号(定価1500円)
漢代思想はいかに研究されてきたか(日原利國)
『鍾呂伝道集』と内丹思想(坂内栄夫)
朱子の工夫論について―未発已発の問題をめぐって―(中純夫)
故日原利國教授略歴・著作目録

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第六号(再販定価2000円)
古典の役割(重沢俊郎)
五藏の五行配当について―五行説研究その一―(林克)
『九章算術』の構成と数理(武田時昌)
もう一つの易筮法(川原秀城)

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第五号(定価1500円)
六天説の背景(呉二煥)
邵晉涵の歴史学―餘姚邵氏の歴史学その一―(福島正)

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第四号―湯浅幸孫教授退官記念論集―(定価平装3000円精装5000円)
地券徴存考釋(湯浅幸孫)
中国古代詩の修辞と形式―「詩経」の興と畳詠について―(久富木成大)
後漢・四分暦の世界―蔡の律暦思想―(川原秀城)
六朝齊梁の「神上滅論」覺え書―佛性説との交流より―(中西久味)
『史通』疑古篇論考―述者の意識―(福島正)
『陸文學自傳』考(西脇常記)
「打乖」考(三浦国雄)
張載の思想について―「大」と「聖」―(木下鉄矢)
清初の漢人とその処世―詩を以て史を証す―(山口久和)
訓詁の虚と実(池田秀三)
湯浅幸孫教授論著目録

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第三号(定価1000円)
「潜夫論」に引く〈魯詩〉について(湯浅幸孫)
『潜夫論』版本小考―特に元大徳本について―(池田秀三)
呂留良と張倬投書案(山口久和)
段玉裁の思考様式(木下鉄矢)

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第二号(再版定価2000円)
思想家としての王廷相―張載と王廷相―(湯浅幸孫)
中唐の思想―権徳輿とその周辺―(西脇常記)
宗炳「明仏論」について―その神上滅論形成の一側面―(中西久味)

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創刊号(再版定価2000円)
序に代えて(湯浅幸孫)
王船山研究其の一―存在論を中心として―(山口久和)
古音学の歴史―学的認識の形成及び深化の過程―(木下鉄矢)
三統暦の世界―経学成立の一側面―(川原秀城)

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chinese-philosophy■bun.kyoto-u.ac.jp

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2018年度 第10回親密圏/公共圏セミナー、ジェンダー研究会を開催します

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2018年度 第10回親密圏/公共圏セミナー、ジェンダー研究会を開催します。

詳しくはこちらをご覧ください。

抄物講演会 開催のご案内

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京都大学文学研究科では、国文・中文・中哲の教員・研究室関係者が中心になって、抄物『黄氏口義』(黄山谷詩の注釈)を読む研究会を定期的に開いています。

研究会の一環として下記の講演会を開催します。
(京都大学で行われる第120回 訓点語学会研究発表会の前日土曜日となります。)
どなたでも自由にご参加いただけます。参加は無料です。

準備の都合上、参加をご予定の場合、メールで一報いただけると助かります。
連絡、お問い合わせは、kskg.kyoto¥gmail.comまでお寄せください。(左のアドレスの¥を半角文字の@にして下さい)

本講演会は日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)「抄物の文献学的研究」(課題番号18H00643、代表:京都大学・大槻信)によるものです。

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<抄物講演会 開催のご案内>
日時 2019年5月11日(土)13:00~14:30
場所 京都大学文学部第1講義室(京都大学文学部ホームページアクセスマップ参照)
講演者 青木博史(九州大学)
講演題目 抄物の接続詞 ―文献資料と言語史―

なお、講演会後に通常の研究会も行う予定です(15:00~17:00)

興味のある方は、そのままご参加いただくことが可能です。

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地理学教室所蔵の古地図19点/京都大学貴重資料アーカイブ

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2019年3月1日、京都大学貴重資料アーカイブに地理学教室所蔵の古地図19点の画像データが公開されました。

画像が公開された古地図のうち、『海瀕舟行図(海辺之絵図)』は、大判であることに加え、折り込みが非常に複雑で、現物全体を広げるのがたいへん難しい資料です。ぜひ、デジタル画像でご覧いただけたらと思います。


地理学専修トップページ

公開シンポジウム「失われた信頼はどうしたら回復できるのか:信頼概念への学際的アプローチ」

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下記のとおり、公開シンポジウムを開催いたします。

【日時】2019年3月21日(木) 14:00~18:00

【会場】京都大学吉田キャンパス イノベーション棟5F シンポジウムホール(京都大学構内マップ69番の建物です。)

【提題者】加藤尚武(京都大学名誉教授)、北村英哉(東洋大学教授)

*本シンポジウムはJSPS科研費基盤研究(B)「「信頼」概念に関する国際比較研究:応用倫理・実験哲学的アプローチ」(16H03345 代表・水谷雅彦)の助成を受けたものです。

 

2019年度の授業

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◆講義◆

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅰ)[前期]

中国哲学の基本概念を講義し、中国哲学ならびに中国文化への理解を深める。

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅱ)[後期]

中国の目録学について概要を示すことからはじめて、中国哲学史上の重要な書物について、経部と子部の書物を中心にそれぞれの内容について解説し、その書物が学問全体においてもつ位置についての知識を深める。

◆講読◆

池田恭哉(准教授)『文選』の文章を読む

漢文を読むための基礎的な知識を習得し、それらを活用して実際の漢文を読み、その読解力を身につけることを最大の目的とする。最初は漢文とその読み方について概説をし、またテキストとなる『文選』について紹介する。
 その上で、実際の『文選』収録の文章として、三国魏の曹植による「七啓」を読解する。なおその際、『文選』に附された李善による注釈もあわせて読むことで、漢文読解における注釈の意義について考えてもらう。

◆特殊講義◆

宇佐美文理(教授)中国絵画理論研究

中国絵画の歴史を通覧しつつ、各時代に特徴的な絵画理論を検討しながら、その理論が中国哲学史上に持つ意味を考えていく。

池田恭哉(准教授)中国家訓研究(2)

中国には数多くの「某某家訓」と銘打たれた文章があるし、また後世の者に遺した言葉も多く伝わる。だがそれらに共通する特質は何なのかということは、なお明らかにされていない部分が多い。
 平成31年度の特殊講義では、唐・欧陽詢撰『芸文類聚』巻23・鑑誡に収められる文章の中から、明確に子や家に伝えようと著されたものを読むことで、それらの文章が鑑誡の名の下にまとめられていることをヒントに、家訓の淵源や特質について探究してきた。今年度はその内容を踏まえつつ、前年度は読み得なかった南北朝時代にまで文章の対象を広げ、家訓が歴代どのような体裁、内容のものとして認識されてきたのかをさらに考察する。

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍目録法[前期]

漢籍目録の作成要領を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍分類法[後期]

四部分類法を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

船山徹(協力講座・人文科学研究所 教授)仏教漢語の語義解釈:梵語的側面と漢語的側面

5ー11世紀頃の中国仏教思想史の根幹的な発展に関わる漢字仏教語(仏教漢語)に着目し,漢語に特有の仏教語の語義解釈に迫る。
中国の仏教徒は,サンスクリット語原典を逐一比較することなく,専ら漢語で仏教を理解した。その結果,仏教漢語を理解する際に,インド本来の語義に加え,漢語特有の中国的解釈法を重ね合わせ,一語を二重三重に解釈して,意味や思想に幅を持たせる重層的効果を実現した。
 この授業では,漢語に基づく仏教理解が,インド文化から何を継承し,中国でいかなる独自の展開を遂げたかを,基本的仏教語の語義を原文をもとに解明する。このことは仏教という外来文化を理解するための文化的・言語的・学術的背景を知るのに有益である。

武田時昌(協力講座・人文科学研究所 教授)中国の思想と科学

人文学はいま岐路に立たされている。存在とは何か、世界がなぜむしろ実在するか、不可知であることを前提にして至遠の理を洞察せよとはどういうことなのか。ゲノム解読によって示された生命観、歴史観は、過去の哲学的命題をちゃらにし、人類の文明史観、文化認識はちっぽけな自己満足にすぎないことを言い立てている。世界の永遠とは落陽の女神とともに海の彼方に沈む運命にあり、旅だった愛すべき詩人は二度と詩歌を口ずさんでくれない。
 再生医療や不妊療法が難病克服を旗頭にして生命操作の危険を冒しはじめた現今、先端技術の暴走族をどんな倫理規範で取り締まれればいいだろうか。論じえないことに沈黙せねばならないとしても、語りえないことを語り続ける価値はある。では、パラダイムシフトの旗手となる未来の若者にいったい何を語り継ぎ、世界の記憶とすればいいのか。
 現代人は多忙で苦悩に満ちた日常に立ち尽くしている。高度な科学技術がもたらした長寿社会やネット世界は、前近代社会と比較してどれほどの幸福感や安堵感を増進させたというのか。「いかに生きるべきか、どのように生き長らえ、死を迎えるのか」、そんな問いかけに模範解答すら提示できないでいる。科学的、実証的であろうとする人文学は、生きる知恵というサイエンスの原義に回帰すべきである。
 そのような視座に立って、東アジアの伝統科学文化を振り返れば、天地自然と人倫社会の相互作用をアナロジーにして、社会のあり方、人間の生き方をユニークな思索を巡らしている。自分らしく生きること、考えることを追究するうえで、有益なアイデアをそこにいくつも見出すことができる。そこで、本授業では、老子と易の自然哲学を思想源とし、漢代の思想革命を経て醸成した中国的パラダイムに構造的把握を試み、その特質や可能性、限界性を探る。
 なお、前期は古代(先秦から漢まで)、後期は中世から20世紀までを議論する。

橋本秀美(青山学院大学国際政治経済学部 教授)漢唐経学資料の読解[前期・集中講義]

漢代から唐代の経学文献は、宋代以降とは異なる点が多く、現代の我々が直接理解しようとしてもなかなか難しいが、努力すれば理解できることも多い。読書の楽しみは、やはり未知の体験をすることに在り、これらの資料はそのような体験を我々に豊富に提供してくれる。
 個人的経験例を通して、そのような読書の楽しみをお伝えしたい。

◆演習◆

宇佐美文理(教授)国朝文録精読

古典文献の講読を通して、漢文読解力を養うと共に、中国文化への理解を深める。そのために『国朝文録』を精読する。授業は、各文章毎に、学生諸氏に訳注を準備してもらい、授業時に参加者全員で内容等について議論検討する、という形式を取る。出典に確実に当たることを重視し、本文の文章や語句などすべての典拠、用例について、もとの書物(紙で出来た書物)を調べる作業を重視する。今年は巻八の論の部分を読む。

池田恭哉(准教授)孫志祖『読書〈月坐〉録』

清・孫志祖『読書〈月坐〉録』を読む。孫志祖が関心を持ったテーマに対し、様々な角度から考察した過程を、『読書〈月坐〉録』を精読することで追体験してもらう。多彩なテーマの考証を読むことは、古典読解能力を高めるとともに、その考証の手法を学ぶことをも可能にするであろう。話題は経学を中心としつつ、中国の多様な時代、分野に及ぶので、様々な専攻の学生の出席を望む。

吉本 道雅(本研究科東洋史学専修教授)『春秋左伝正義』

十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を精読する。

古勝隆一(協力講座・人文科学研究所 准教授 )『荘子』郭象注を読む

『荘子』は道家思想の核心的な文献であるが、同書を理解するために欠かせないのが、西晋の郭象が書いた注釈である。この授業では、『荘子』郭象注をなるべく厳密に読み解くことを目標とする。
 ただ、『荘子』が難解であるのみならず、郭象の注も相当に難解である。テクストに正面から向かい合い、正確な理解を目指すのはむろんだが、それをサポートする、書誌学的・校勘学的な知識もあわせて習得することを目標としている。

中純夫(協力講座・京都府立大学文学部 教授)『朱子言論同異攷』講読

朝鮮の朱子学者韓元震(1682~1751)の主著『朱子言論同異攷』を読む。同書は「理気」「理」「陰陽」「五行」「天地」等の項目ごとに朱熹の言論の異同を指摘し、その早晩の鑑別や「定論」の判定を企図したものである。授業は輪読形式で行い、担当者が作成した訳注原稿を受講者全員で検討する。受講者には各自、同書所引の朱熹語の原典に当たり、異同の持つ意味を整理した上で、韓元震の所論の是非を批判的に検証することを要求する。
 テキストはソウル大学校奎章閣蔵『朱子言論同異攷』を使用する(プリント配布)。

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【2019年度派遣説明会・2018年度派遣報告会開催(4/25(木)】

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2019年度派遣説明会および2018年度派遣報告会を、下記のように開催します。 みなさまの参加をお待ちしております。 日時: 4月25日(木)

  派遣説明会: 12:10~12:50

  派遣報告会: 13:00~14:00

場所: 文学部地下大会議室 詳しくはこちらをご覧ください。

大学院進学説明会(社会学専修)開催のお知らせ

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京都大学大学院文学研究科社会学専修の大学院の受験を考えているみなさまのための大学院入試説明会を開催します。 ご関心のある方はぜひご参加ください。事前の連絡は不要です。 京都大学大学院文学研究科の社会学専修は、修士の入学試験を夏期(8月)と冬期(2月)に実施します。 専任教員全員と修士課程博士課程の院生代表が説明役を務めます。 【京都大学大学院文学研究科(社会学専修)大学院進学説明会】

日時:2019年4月27日(土)13時から14時30分

場所:文学部棟5階社会学共同研究室L521

内容:京大社会学の教育の特徴

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2019年度授業概要

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系共通(学部)

伊藤和行「科学史入門I」(講義)(前期水2)

〔授業の概要・目的〕
科学とは時間や空間を超えた普遍的なものと一般にみなされている.しかし人間の営みである以上,科学も歴史のなかで誕生し発展してきたものであり,その成果も歴史的な文脈によって規定されている.
近代科学は,17世紀西欧社会において誕生したと考えられている.近世日本(江戸時代)における自然研究および近代日本(明治時代)への西欧科学の導入を,当時の歴史的文脈の中で理解することは,現代科学の理解にとっても重要である.

〔授業計画と内容〕
本講義では,近世日本における科学の発展を,17世紀から20世紀初頭(江戸時代から明治・大正期)までたどり,どのようにして近代西欧科学が日本に移入され,定着されていったのかを考察する.
以下の項目に従って進める予定である.
それぞれについて1-3週程度で講ずる.

  • (1) イントロダクション
  • (2) 西欧における科学の誕生と発展
  • (3) 江戸時代の科学
    • 1. 天文学
    • 2. 医学
    • 3. 蘭学と洋学
  • (4) 近代日本の科学
    • 1. 明治維新前後の科学
    • 2. 明治期日本の西洋科学の導入
    • 3. 大正期日本における科学の定着
伊藤和行「科学史入門II」(講義)(後期水2)

〔授業の概要・目的〕

科学とは時間や空間を超えた普遍的なものと一般にみなされている.しかし人間の営みである以上,科学も歴史のなかで誕生し発展してきたものであり,その成果も歴史的な文脈によって規定されている.

とりわけ近代科学は17世紀西欧社会において誕生したと考えられ,「科学革命」と呼ばれている.「科学革命」を当時の歴史的コンテキストの中で科学的活動を理解することは,現代科学の理解にとっても重要である.

〔授業計画と内容〕

本授業では,西洋世界における科学の歩みを,古代ギリシアから17世紀「科学革命」までたどる.

具体的には,近代科学誕生の際に中心となった天文学と運動論の歴史的変遷を考察する.

次のような計画に従って講義を進める予定である.

それぞれについて1-3週程度で講ずる.

  • 1. イントロダクション
  • 2. 天文学の歴史
    • 2-1. 天体の運動について
    • 2-2. 古代の天文学:地球中心説(プトレマイオスの理論)
    • 2-3. 近代の天文学:太陽中心説(コペルニクスからガリレオへ)
  • 3. 運動論の歴史
    • 3-1. 古代・中世の運動論:アリストテレスと中世の哲学者たち
    • 3-2. 近代の運動論:ルネサンスの技術者とガリレオ
    • 4. 17世紀科学革命:ニュートンと近代力学の誕生
伊勢田哲治「 科学哲学入門(上)」(講義)(前期水3)

〔授業の概要・目的〕

科学哲学は「哲学」という視点から「科学」に切り込む分野である。本講義では、多様化のすすむ科学哲学のさまざまな研究領域を紹介し、受講者が自分の関心に応じて今後掘り下げていけるような「入り口」を提供する。 前期の講義においては、科学とはなにかという問題、科学的推論や科学的説明をめぐる問題を、科学全体に関わるテーマと個別の領域に関わるテーマに分けて論じる。

〔授業計画と内容〕

以下のそれぞれのテーマに2~3週をかけて論じる。

  • 1 科学とは何か
  • 2 科学的推論
  • 3 個別科学における科学的推論
  • 4 科学的説明
  • 5 個別科学における科学的説明
伊勢田哲治「 科学哲学入門(下)」(講義)(後期水3)

〔授業の概要・目的〕

科学哲学は「哲学」という視点から「科学」に切り込む分野である。本講義では、多様化のすすむ科学哲学のさまざまな研究領域を紹介し、受講者が自分の関心に応じて今後掘り下げていけるような「入り口」を提供する。 後期の授業では科学的実在論や科学の変化、科学と価値などのテーマを順にとりあげ、関連する個別科学におけるテーマも検討する。 

〔授業計画と内容〕

以下のそれぞれのテーマに2~3週をかけて論じる。

  • 1 実在論と反実在論
  • 2 個別科学における実在論問題
  • 3 科学の変化と科学革命
  • 4 個別科学における変化の問題
  • 5 科学と価値

*特殊講義(学部・大学院共通)

伊藤和行「ラザフォードと原子核物理学の誕生」(特殊講義)(前期木2)

[授業の概要・目的]

この授業では,英国の物理学者ラザフォード(Ernst Rutherford)を中心に,20世紀初頭における原子核物理学の誕生の過程を検討する.この時期には,放射線,放射能,放射性崩壊が相次いで発見され,原子内の現象を扱う原子核物理学が誕生した.この研究で中心的な役割を果たしたラザフォードの論文の読解を通じてこの過程を考察する.

[授業計画と内容]

以下の項目に従って進める予定である.

それぞれについて1-3回程度を当てる.

後半では,出席者も論文の読解をしてもらう予定である.

  • 1:イントロダクション
    • 20世紀初頭の物理学
    • 放射線・放射能・放射性崩壊の発見
    • ラザフォードの人生と業績
  • 2:ラザフォードらの論文の検討
    • 放射性と放射能
    • α粒子
    • 放射性崩壊
○伊藤和行「大森房吉と近代地震学の誕生」特殊講義)(後期木2)

〔授業の概要・目的〕

この授業では,近代地震学の父と呼ばれる大森房吉の業績を取り上げ,19世紀末から20世紀初頭の日本における地震学,そして地球物理学について検討する.大森房吉の代表的業績である「大森公式」のほか,地震予知をめぐる議論に関しても考察する.

〔授業計画と内容〕

以下の項目に従って進める予定である.

後半では,出席者にも論文の読解をしてもらう予定である.

  • 1:イントロダクション(各1回)
    • 明治以降の科学の発展と地震学の誕生
    • 大森房吉の人生と背景
  • 2:大森房吉の科学的業績の検討
    • 余震回数の時間的変化
    • 初期微動継続時間と震源までの距離の関係
    • 地震予知
伊勢田哲治「リスクの哲学 Philosophy of Risk」(特殊講義)(前期金2)

〔授業の概要・目的〕

この特殊講義のテーマは科学の哲学的側面にかかわるさまざまな話題をとりあげる形で毎年変更されます。今回は科学技術にまつわるリスクを哲学的観点から考えます。リスクにまつわる哲学的な問題としては、リスクとはそもそも何か、リスクについてどのような考え方をすればよいか、リスクについて誰にどのような責任があるか、などがあります。この授業では、2012 年に出版された『リスク理論ハンドブック』などをてがかりにこれらの問題を順次扱って行きます。また、日本においてリスクをめぐるコミュニケーションや意思決定の問題は特殊な現れ方をしています。そうした特有な側面についても事例を使いながらあわせて考えて行きたいと思います。

〔授業計画と内容〕

授業は日本語と英語で行われます。

以下は扱うトピックの暫定的リストです。(一項目に1-2週かけます)

  • 1 リスクの哲学の全体像
  • 2 リスクと安全の概念
  • 3 文化としてのリスク
  • 4 事例研究(1): 公衆衛生とリスク
  • 5 リスクと決定理論
  • 6 リスク認知
  • 7 リスクの倫理学
  • 8 事例研究(2):地震のリスク
  • 9 リスクと公平性
  • 10 リスクと責任
  • 11 事例研究(3):原子力のリスク
伊勢田哲治「科学的実在論論争の過去と現在  」(特殊講義)(後期金2)

〔授業の概要・目的〕

科学的実在論論争は、科学が措定する観察不可能な対象の存在についてどのような態度をとるべきかということについての論争である。この論争の基本的な枠組みは1980年代につくられたが、関連する論争はそれ以前から行われており、なぜこの論争が現在の形をとっているかを理解するには、それまでの流れを理解することも重要である。今回の授業では、科学哲学において「実在」がどのように論じられてきたのかを歴史的なパースペクティブの上で捉え直すとともに、現在論争がどのような状況にあるか、とりわけ科学の諸分野における実在の問題について何が論じられているかを紹介する。

〔授業計画と内容〕

以下のようなテーマを扱う予定(一項目に1-2週かける)

  • 第一部 歴史的背景
    • 1 19世紀の論争
    • 2 論理実証主義の実在に関する立場
    • 3 論争の成立
  • 第二部 現在の論争
    • 4 構成的経験主義
    • 5 悲観的帰納法と想定されざる対案
    • 6 選択的実在論 
    • 7 パースペクティブ主義
  • 第三部 さまざまな領域における実在の問題
    • 8 物理学における実在論
    • 9 歴史科学における実在論
    • 10 化学における実在論
    • 11 認知科学における実在論
    • 12 まとめ
隠岐さや香「自然科学と人文社会科学の系譜学」(特殊講義)(前期集中)

〔授業の概要・目的〕

近年は自然科学史だけでなく、経済学・社会学などの社会科学(Social Science)や文学・文献学などの人文(科)学(Humanities)の歴史研究が進展し、忘れられていた諸学の間の関係性や影響関係が見直されつつある。この講義ではいくつかの具体的事例や史料を用いつつ、主に17-19世紀の西欧世界で、自然科学・社会科学・人文科学という三つの分類が出現する経緯を思想史的に考察する。それにより、いわゆる文系・理系を越えた知の歴史として科学史を理解する視座の獲得を目指す。

〔授業計画と内容〕

  • 1. イントロダクション
  • 2. 人文主義とアカデミーの文化
  • 3. 17世紀における科学と政治(1)統治の技法
  • 4. 17世紀における科学と文芸(2)分野別アカデミー
  • 5. 『百科全書』時代の学問体系
  • 6. 蓋然性の探究と法学・数学
  • 7. 18世紀の道徳科学(1)コンドルセの社会数学
  • 8. 18世紀の道徳科学(2)文明史と進歩主義思想
  • 9. 19世紀の道徳科学(1)観念の分析・統計学
  • 10. 19世紀の道徳科学(2)政治経済学・司法
  • 11. 自然科学から社会科学へ:ジョン・スチュアート・ミルの『論理学』
  • 12. 社会科学から自然科学へ:ダーウィニズムと「分業」観
  • 13. 「人文(科)学」の目覚めと自然科学
  • 14. 人文社会科学・自然科学とジェンダー
  • 15. 総合討論
瀬戸口明久「環境としての科学技術」(特殊講義)(後期火3)

〔授業の概要・目的〕

この授業では、科学技術がどのように現代の環境をつくりあげているのか考える。現代においては、科学技術は単なる道具ではなく、私たちが生きる世界そのものをつくりあげている。それはどのようなものか、科学技術史と科学技術論の両面から検討していく。話題はおもに日本における歴史的な事例から取り上げるが、世界的な文脈についても視野に入れて論じる。

〔授業計画と内容〕

  • 1.科学技術がつくる環境【2週】
    • ガイダンス、3.11と科学技術論
  • 2.自然環境【3週】
    • 野生動物、野鳥、害虫
  • 3.地下の人工環境【2週】
    • 炭鉱、地下街、大気
  • 4.都市の人工環境【2週】
    • 時間、鉄道
  • 5.人工環境としての地球【2週】
    • 情報社会、人新世
  • 6.環境の科学技術論【2週】
    • 技術哲学、技術史
  • 7.まとめと総括【1週】
  • 8.フィードバック

*特殊講義(大学院)

伊勢田哲治「科学技術と社会に関わるクリティカルシンキング」(大学院横断科目)(後期火5)

〔授業の概要・目的〕

伊勢田ほか編『科学技術をよく考える』をテキストとして、科学技術と社会の接点で生じるさまざまな問題についてディスカッションを行い、多面的な思考法と、思考の整理術を学んでいく。理系の大学院のカリキュラムでは、科学と社会の関わりについて学ぶ機会はそれほど多く与えられない。他方、東日本大震災後の状況に特に顕著にあらわれているように、科学技術が大きな影響をおよぼす現在の社会において、研究者が自らの研究の社会的含意について考えること、アカデミズムの外の人々と語り合うことの必要性は非常に高まっている。そうした必要性に答えるため、広い視野と適切な思考の技術を持った大学院生を養成することが本授業の目的である。 

〔授業計画と内容〕

授業はテーマにそったグループディスカッション、全体ディスカッション、講義、演習の組み合わせで行われる。

テキストは以下の10のテーマから構成されているが、本授業ではそのうち6つをとりあげ、関連する知識やスキルとあわせて各2回程度を使って議論を行う。

・遺伝子組み換え作物         ・脳科学の実用化

・喫煙                ・乳がん検診

・血液型性格判断           ・地球温暖化

・地震予知              ・宇宙科学・技術への公的投資

・動物実験              ・原爆投下の是非を論じること自体の正当性

取り上げる題材は受講者の興味も踏まえて決定する。初回に前半のテーマ3つを決定する。5回目の授業で後半のテーマ3つを決定する。

*演習(学部・大学院共通)

○伊藤和行「マクリントックと「動く遺伝子」の発見」(演習)(前期火3)

〔授業の概要・目的〕

この授業では,米国の遺伝学者マクリントック(Barbara McClintock)を取り上げ,20世紀中頃の遺伝学の歴史に関する理解を深める.マクリントックは,トウモロコシにおける「動く遺伝子」(トランスボゾン)の発見によって,ノーベル生理学賞を受賞している.彼女の論文の読解を通じて,当時の遺伝学の実験と理論について考察する.

〔授業計画と内容〕

イントロダクション(2回)ののち,マッキントックの英語論文を読解する.

以下の項目に従って進める予定である.

  • 1:イントロダクション
    • 20世紀遺伝学の概要
    • マクリントックの人生と行政記
  • 2:マクリントックの論文読解(読解する論文の順序については出席者と相談の上決定する)
    • “Correlation of cytological and genetical crossing-over in Zea mays.” (1931)
    • “Mutable loci in maize.” (1951)
    • “The significance of responses of the genome to challenge”(Nobel lecture) (1983)
○伊藤和行「ナイチンゲールと医療統計の誕生」(演習)(後期火2)

〔授業の概要・目的〕

この授業では,ナイチンゲール(Florence Nightingale)を取り上げ,19世紀における医療統計学の誕生過程に関する理解を深める.ナイティンゲールは,クリミア戦争における英国軍病院の状況に関する統計報告を作成したが,これは医療統計の始まりと評価されている.この報告書の読解を通じて,当時の統計学について考察する.

〔授業計画と内容〕

最初の2回程度をイントロダクションにあて,以後15回までナイチンゲールの論考を講読する.

以下の項目に従って進める予定である.

  • 1:イントロダクション
    • 19世紀の医療と統計学
    • ナイチンゲールの人生と業績
  • 2:ナイチンゲールの医療統計学の論考
    • Notes on Matters Affecting the Health, Efficiency and Hospital Administration of the British Army (London, 1858)
○伊勢田哲治「フィールド科学における測定 」(演習)(前期金3)

〔授業の概要・目的〕

科学哲学は伝統的に物理学をはじめとした厳密科学を主な研究対象としてきた。その背景として、そうした分野は論理学などのツールを使った分析が行いやすいといった理由が考えられる。しかし、近年になって観察科学や社会科学など、厳密な測定の難しい非厳密科学にも科学哲学の分析が及ぶようになってきた。この演習ではMarcel Boumansの『ラボの外の科学:フィールド科学と経済学における測定』を手がかりに、フィールド科学における測定はどういう問題に直面し、それをどう解決していけばいいのか、そのことについて科学哲学は何が言えるのか、を一緒に考察していきたい。

〔授業計画と内容〕

以下のテキストを輪読形式で読み、内容についてディスカッションを行う。

Boumans, M. (2015) Science Outside the Laboratory: Measurement in Field Science and Economics. Oxford University Press.

第4章までを主に読む。

基本的に一回の授業でテキスト15ページ程度を読み、それについてディスカッションする形ですすめる。学生は一人ないし複数で一回の発表を担当する(担当者は事前に決めておく)。

伊勢田哲治「文化進化論の現在」(演習)(後期金3)

〔授業の概要・目的〕

ロバート・ボイドはピーター・リチャーソンとの共同研究による「二重継承説」で知られる人類学者である。これは人類進化(とりわけ協力行動の進化)において生物学的進化と文化的進化の相互作用が重要な役割を果たしてきたという立場である。今回の演習では、ボイドの講義と数人の論者によるボイドへのコメントを集めた『異なる種類の動物:文化はいかに人類を変えてきたか』を手がかりに、文化進化論の現在について考える。

〔授業計画と内容〕

以下のテキストを輪読形式で読み、内容についてディスカッションを行う。

Boyd, R. et. al (2018 ) A Different Kind of Animal: How Culture Transformed Our Species. Princeton University Press.

ボイドによる第一章とコメンテーターによる第三章-第五章を中心に読む。

基本的に一回の授業でテキスト15ページ程度を読み、それについてディスカッションする形ですすめる。学生は一人ないし複数で一回の発表を担当する(担当者は事前に決めておく)。

○伊藤和行・伊勢田哲治「科学哲学科学史セミナー」(演習)(前期 水4)

〔授業の概要・目的〕

科学史および科学哲学における、基礎的な知識の理解を向上させるとともに、近年の研究動向についての知識を得る。それらを基盤として、卒業論文/修士論文の作成に必要な基礎的な力を養う。また関連する研究会や学会での発表に向けて、日本語および英語での発表の技量を磨くとともに、研究会誌や学会誌への投稿へ向けて執筆に必要な基礎力を養う。

〔授業計画と内容〕

授業に出席する各学生に研究の進行状況を報告してもらい、研究テーマの設定、先行研究についての理解などについて個別に指導を行う。研究会や学会の発表に備えてそのシミュレーションを行ってもらい、各自のプレゼンテーション技法について指導を行う。発表順や具体的な発表課題・内容等については、出席学生と担当教員とで相談をして決める。

○伊藤和行・伊勢田哲治「科学哲学科学史セミナー」(演習)(後期 水4)

〔授業の概要・目的〕

科学史および科学哲学における、基礎的な知識の理解を向上させるとともに、近年の研究動向についての知識を得る。それらを基盤として、卒業論文/修士論文の作成に必要な基礎的な力を養う。また関連する研究会や学会での発表に向けて、日本語および英語での発表の技量を磨くとともに、研究会誌や学会誌への投稿へ向けて執筆に必要な基礎力を養う。

〔授業計画と内容〕

授業に出席する各学生に研究の進行状況を報告してもらい、研究テーマの設定、先行研究についての理解などについて個別に指導を行う。研究会や学会の発表に備えてそのシミュレーションを行ってもらい、各自のプレゼンテーション技法について指導を行う。発表順や具体的な発表課題・内容等については、出席学生と担当教員とで相談をして決める。

○矢田部俊介「論理学演習1」(演習)(前期 火5)

〔授業の概要・目的〕

本授業の最終的な目標は、受講者が論理的で明晰な思考に慣れ、何かを主張する際にはその主張がどのような根拠に基づいているかを明確化し、抜けも漏れもない論証ができるようになることである。そのための練習の題材としては、哲学的論理学、そのなかでも 「論理とは何か」という問題をとりあげる。我々は日常、推論を行い、そして「論理的」という言葉をよく使う。もちろん「論理的」であることが要求される。 しかし、「論理」とはいったい何だろうか。日頃、無反省に、知っているつもりで使っている概念の意味を問い直すのは、哲学の重要な仕事の一つである。

本演習では、数学における定理の証明がシミュレートできる、「論理」と呼ばれうるような、記号を処理する体系(「形式的体系」)を紹介する。 具体的には、最小述語論理の自然演繹の体系の解説と問題演習を行う。

〔授業計画と内容〕

最小述語論理は、論理結合子の導入規則と除去規則のみを持つ、基本的な論理体系の一つである。前期の前半は、まず最小述語論理の自然演繹の体系を紹介する。問題演習を通じ、各自が自然演繹の証明が出来るようになることが目標である。また、後半には、最小論理上で算術の体系「最小算術Q」を例に、数学における多くの証明が最小論理で遂行可能であることを示す。同時に、原始再帰法など計算の基本概念を紹介する。

具体的な授業計画は以下の通り。

      • ①論理学とは何をする学問か
      • ②形式言語
      • ③最小命題論理の⇒-導入規則および除去規則
      • ④最小命題論理の∧、∨-導入規則および除去規則
      • ⑤最小命題論理の問題演習
      • ⑥遠回りのない証明
      • ⑦量化子と最小述語論理
      • ⑧最小述語論理の∀-導入規則及び除去規則
      • ⑨最小述語論理の∃-導入規則及び除去規則
      • ⑩最小述語論理の問題演習
      • ⑪形式的な自然数論
      • ⑫原始再帰的関数と”2+2=4″の証明
      • ⑬再帰関数の数値的表現可能性
      • ⑭総合演習
      • ⑮形式的な論理学と言語の哲学
○矢田部俊介「論理学演習2」(演習)(後期 火5)

〔授業の概要・目的〕

我々は日常的に推論を行う。また「論理的」という言葉をよく使う。哲学においてももちろん「論理的」であるこ とが要求される。 しかし、「論理」とはいったい何だろうか。日頃、無反省に、知っているつもりで使っている概念の意味を問い直すのは、哲学の重要な仕事の一つである。

また「論理」とはいったい何かという問題は、現代の大きな問題である。というのも、20世 紀以降、古典論理の体系以外にも多くの異なる論理体系が提案されているからである。それらの非古典的な体系が論理と呼ばれるなら、ある体系が「論理」と呼ばれるためには、どんな性質を満たしていることが必要だろうか。

本演習では、最小述語論理の自然演繹の体系の解説から始め、最小論理・直観主義論理・古典論理での論理式の証明とそのモデルを使った議論が出来るようにすることを目的とする。その中で、単なる記号の処理を行なう体系が「論理」と呼ばれるにはどんな性質を満たす必要があるかを考察する。

〔授業計画と内容〕

前半では、前期に紹介した最小述語論理を例にとり、論理結合子の意味とは何かを、「証明論的意味論」と呼ばれる立場から考察する。具体的には、ベルナップの「トンク」の例を題材に、論理結合子の条件とは何かを考え、保存拡大性や証明の正規化といった論理学の基本概念を理解することを目指す。 後半では、最小論理に論理規則を付加し拡張した論理体系を紹介する。つまり、最小論理に矛盾律、 排中律と論理規則を加え、直観主義論理、古典論理の体 系を得る。これらの例により、論理規則が加わるにつれて、論理式の証明は難しくなるものの、そのモデルは簡単になることを示す。また、その考察により、健全性や完全性といった記号とモデルの関係に関する基本概念の理解を目指す。

最後に、論理学の話題として、ゲーデルの不完全性定理等も紹介する。

具体的な授業計画は以下の通り。

    • ①論理結合子の意味とは何か、意味の理論1と意味の理論2
    • ②意味の理論2と論理結合子の条件:プライアーの「トンク」、ベルナップの保存拡大性
    • ③プラヴィッツの「反転原理」
    • ④ダメットと証明の正規化可能性
    • ⑤「ホームズ論法」と矛盾律、直観主義論理
    • ⑥直観主義論理の問題演習
    • ⑦排中律と古典論理
    • ⑧古典論理における証明・問題演習
    • ⑨古典論理と真理表
    • ⑩古典論理と完全性定理
    • ⑪完全性定理の証明
    • ⑫総合演習
    • ⑬(エクストラ課題)ゲーデルの不完全性定理
    • ⑭(エクストラ課題)ゲーデルの不完全性定理の証明
    • ⑮(エクストラ課題)不完全性定理の意義

授業時間割表

※上段は前期を、下段は後期を表す

1限 2限 3限 4限 5限

伊藤 演習
ナイチンゲールと医療統計の誕生

伊藤 演習
マクリントックと「動く遺伝子」の発見

瀬戸口 特講
環境としての科学技術

矢田部 演習
論理学演習1

矢田部 演習
論理学演習2

伊勢田 特講

科学技術と社旗に関わるクリティカルシンキング

伊藤 講義
科学史I

伊藤 講義
科学史II

伊藤・伊勢田
科哲史セミナーI

伊藤・伊勢田
科哲史セミナーII

 伊藤 特講
ラザフォードと原子核物理学の誕生

伊藤 特講
大森房吉と近代地震学の誕生

伊勢田 特講
リスクの哲学

伊勢田 特講
科学的実在論の過去と現在

伊勢田 演習
フィールド科学における測定

伊勢田 演習
文化進化論の現在

 

集中・その他

(前期集中)特講 隠岐「「自然科学と人文社会科学の系譜学」

2019年度 講義題目

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 ※2018年度の講義題目はこちら

2019年度 講義題目

開講期・時限 講師 種別 題目・概要
前期火1 杉村靖彦 講義 宗教学A(講義)

[授業の概要・目的]

宗教と哲学は、人間存在の根本に関わる問いを共有しながらも、歴史的に緊張をはらんだ複雑な関係を結んできた。その全体を視野に入れて思索しようとする宗教哲学という営みは、多面的な姿ととりながら歴史的に進展し、現代でも大きな思想的可能性を秘めている。この授業では、その今日までの変遷を通時的に追うことによって、宗教哲学という複雑な構成体について、受講者が一通りの見取図を得られるようにすることを目的とする。

[授業計画と内容]

以下のテーマについて授業を行っていく(細部は変更の可能性あり)。
1.宗教と哲学:根本の問いから考える。
2.ミュートスからロゴスへ:哲学の誕生
3.ソクラテス、プラトン、アリストテレス:哲学における神
4.ユダヤ教、キリスト教、イスラム教:啓示と信仰の神
5.ヘブライズムとヘレニズムの出会い:キリスト教神学の成立
6.中世における神学と哲学:スコラ哲学と神秘主義
7.近世形而上学:デカルトと哲学的神学の流れ
8.宗教哲学の成立と展開(1):カントとシュライアマハー
9. 宗教哲学の成立と展開 (2):ヘーゲルとキルケゴール
10. 「神の死」とニヒリズム:ニーチェ
11.哲学と宗教の「解体」的反復:ハイデガー
12.日本の宗教哲学と仏教的伝統(1):西田幾多郎
13. 日本の宗教哲学と仏教的伝統(2):九鬼周造
14. アウシュヴィッツ以降の宗教哲学:レヴィナス
15.今日の宗教哲学の課題

後期火1 杉村靖彦 講義 宗教学B(講義)

[授業の概要・目的]

宗教哲学とは、哲学の一形態であると同時に、宗教研究のさまざまな道の一つでもある。この両面性とそれによる独自な意義が理解できるように、この授業では、宗教哲学と宗教学の歴史的関係を明らかにした上で、基本となる文献を幅広く選び、それぞれについて読解の手がかりとなるような解題を行っていく。それを通して、この分野における過去の重要な思索を自ら追思索し、宗教という事象を視野に入れた哲学的・学問的思索の一端に触れることが、この授業の目的である。

[授業計画と内容]

以下のテーマについて授業を行っていく(細部は変更の可能性あり)。
1.宗教哲学と宗教学(1):歴史的位置づけ
2.宗教哲学と宗教学(2):さまざまなアプローチ
3.宗教哲学と宗教学(3):現代的課題
4.パスカル『パンセ』:考える葦と隠れたる神
5.ヒューム『宗教の自然史』:経験主義的宗教論の嚆矢
6.カント『単なる理性の限界内の宗教』:根源悪論と宗教哲学
7.ニーチェ『道徳の系譜学』:ラディカルな宗教批判
8.ジェイムズ『宗教的経験の諸相』:宗教心理学の方法
9.西田幾多郎『善の研究』:日本の宗教哲学の出発点
10.モース『贈与論』:宗教社会学の豊饒な可能性
11.ハイデガー『存在と時間』:「現存在」と「死への存在」
12.ベルクソン『道徳と宗教の二源泉』:静的宗教と動的宗教
13.エリアーデ『聖と俗』:宗教現象学の射程
14.ヨナス『アウシュヴィッツ以後の神概念』:神概念の解体的変容
15.総括

前期水2 芦名定道 特殊講義 キリスト教思想研究入門A

[授業の概要・目的]

この特殊講義は、すでに系共通科目「キリスト教学講義」を受講し、キリスト教思想研究に関心のある学部生、あるいはキリスト教研究の基礎の習得をめざす大学院生を対象に行われる。キリスト教思想研究を目指す際に身につけておくべき事柄について、またいかなるテーマをどのように取り上げるのかについて、解説 を行う。

[授業計画と内容]

本年度前期のテーマは、「宗教改革から近代キリスト教思想へ」である。初回のオリエンテーションに続いて、次のような項目について、講義が進められる。一回の講義で一つの項目が取り上げられる。

0.オリエンテーション
1.現代キリスト教思想の基本動向
2.現代神学1:自由主義神学と弁証法神学
3.カール・バルト
4.ブルトマン
5.ボンヘッファー
6.ティリッヒ
7.H・リチャード・ニーバー
8.ブルトマン学派と解釈学的神学
9.現代神学2、あるいはポスト近代
10.解放の神学
11.科学技術の神学
12.モルトマン
13.パネンベルク
14.アジア・アフリカ神学
15.フィードバック

フィードバックの具体的なやり方については授業にて説明を行う。

後期水2 芦名定道 特殊講義 キリスト教思想研究入門B

[授業の概要・目的]

この特殊講義は、すでに系共通科目「キリスト教学講義」を受講し、キリスト教思想研究に関心のある学部生、あるいはキリスト教研究の基礎の習得をめざす大 学院生を対象に行われる。キリスト教思想研究を目指す際に身につけておくべき事柄について、またいかなるテーマをどのように取り上げるのかについて、解説 を行う。

[授業計画と内容]

本年度後期のテーマは、「旧約聖書と哲学的問い」である。初回のオリエンテーションに続いて、次のような項目について、講義が進められる。一回の講義で一つの項目が取り上げられる。

0.オリエンテーション
1.「文化の神学」の構想
2.聖書翻訳の意義
3.告白文学の系譜
4.修道制と文化構築
5.死と死後世界:煉獄思想の誕生
6.教会建築のコスモロジー
7.宗教改革と国民国家・国民文学
8.近代文学1:英文学
9.近代文学2:フランス文学
10.近代文学3:ドイツ文学
11.近代文学4:ロシア文学
12.近代文学5:日本文学
13.キリスト教と映画
14.キリスト教と音楽
15.フィードバック

フィードバックの具体的なやり方については授業にて説明を行う。

前期水4 杉村靖彦 特殊講義 「解釈(学)」をめぐる諸考察―その宗教/哲学的射程

[授業の概要・目的]

「哲学者たちは世界をさまざまに解釈してきたにすぎない。だが、大事なのは世界を変えることなのだ」(マルクス)。しかし、哲学と宗教の双方において、その原点となる言葉や書物に立ち返り、それをたえず新たに「解釈」していくことで思索を更新していくという営みがつねに行われてきた。そして、この営みについて「解釈学(Hermeneutik)」の名の下で方法的反省が繰り広げられるようになり、20世紀以降には、哲学・宗教思想においてひとつの重要な潮流となっていった。
「解釈」とは何をすることなのか。「解釈学」は宗教哲学にとっていかなる意義をもちうるのか。この授業では、そういった問題について、思想史的な流れをたどりながら考究していきたい。

[授業計画と内容]

以下の諸テーマについて、一つのテーマ当たり2,3回の授業を充てて講義する。
(「特殊講義」という、教員の研究の進展を直接反映させることを旨とする授業であるので、1回ごとの授業内容を細かく記すことはしない。また、以下の諸テーマにしても、細部については変更の可能性がある。)

1.「解釈」とは何をすることか―導入的考察
2.「解釈学」の前史
3.「哲学的解釈学」の由来と展開
4. 宗教的言語の解釈(学)
5. 哲学的解釈学と宗教的解釈学

なお、最後の授業は、本学期の講義内容全体をめぐる質疑応答と議論の場とし、講義内容の受講者へのフィードバックを図る。

後期水4 杉村靖彦 特殊講義 田辺哲学研究

[授業の概要・目的]

田辺元の哲学的思索は、その異様なまでの凝縮度と彼固有の論理への偏愛によって異彩を放っている。田辺は西洋哲学の最前線の動向、諸学問の最新の成果を飽くことなく摂取し、歴史的現実にもそのつど敏感に反応しつつ、それら全てに自前の思索によって緊密な総合を与えるべく、生涯血の滲むような努力を続けた。彼の濃密にすぎる文章はそのようにして生み出されたものである。この凝縮体を丁寧に解きほぐし、そこに封じ込められたさまざまな展開可能性を切り出すことによって、今日のわれわれがリアルな接触をもちうるような形で語り直すこと。それが本講義の狙いとするところである。本年度は、『懺悔道としての哲学』(1946)以降の後期田辺哲学の中核となった「実存協同」の概念の展開を追跡しつつ、1950年代以降の晩年の田辺の思索の二本柱というべき「死の哲学」と象徴主義文学への取り組みを扱いたい。この二系統の思索を、単に同時期になされた二つの探究として並列するのではなく、両者の深い次元での照応関係を再構成しつつ、同時代の西洋思想の布置の中に置き直すことが目的である。

[授業計画と内容]

以下の諸テーマについて、一つのテーマ当たり2,3回の授業を充てて講義する。
(「特殊講義」という、教員の研究の進展をダイレクトに反映させることを旨とする授業であるので、1回ごとの授業内容を細かく記すことはしない。また、以下の諸テーマにしても、細部については変更の可能性がある。)

1.『懺悔道としての哲学』までの田辺哲学の概観
2.「実存協同」という概念の成立と展開
3.「死復活」と「無の象徴」:両概念の生成とその連関
4.田辺の「死の哲学」とハイデガー
5.田辺の象徴主義文学研究と偶然性の問題

なお、最後の授業は、本学期の講義内容全体をめぐる質疑応答と議論の場とし、講義内容の受講者へのフィードバックを図る

前期水4 佐藤義之 演習 レヴィナスを読む

[授業の概要・目的]

レヴィナスは倫理の問題を手がかりに、旧来の哲学の根本的革新を企て、思想界に大きな影響を残した。
授業では彼の第二の主著とされる1974年のAutrement qu’être ou au-delà de essence.(『存在するとは別の仕方で、あるいは存在することの彼方に』)の仏語原文をテキストとして、彼の思想を理解する。

[授業計画と内容]

上記の著作はレヴィナスの思想のひとつの到達点である。授業はこの著作の中から「強迫」「痕跡」等々、第一の主著とされる『全体性と無限』の倫理観を先鋭化したとも言える主要概念を選び、その検討を行なう。そのためにふさわしい箇所を抜粋、熟読することで、彼の特異な倫理思想の大枠の理解を試みたい。

第1回:ガイダンス
第2回~第14回:『存在するとは別の仕方で、あるいは存在することの彼方に』の該当箇所の精読
フィードバックについては授業で周知する。

後期水4 佐藤義之 演習 レヴィナスを読む

[授業の概要・目的]

レヴィナスは倫理の問題を手がかりに、旧来の哲学の根本的革新を企て、思想界に大きな影響を残した。
授業では彼の第二の主著とされる1974年のAutrement qu’être ou au-delà de essence.(『存在するとは別の仕方で、あるいは存在することの彼方に』)の仏語原文をテキストとして、彼の思想を理解する。
[授業計画と内容]

前期に引き続き、上記著作をテキストとして扱う。後期においては前期の基本的倫理思想の理解をふまえて、彼のこの時期の新展開と言える、「正義」「語ることと語られること」などの諸概念に関連する箇所を抜粋し熟読する。

 第1回:ガイダンス
 第2回~第14回:『存在するとは別の仕方で、あるいは存在することの彼方に』の該当箇所の精読
 フィードバックについては授業で周知する。

前期水5 杉村靖彦 演習 Paul Ricoeur, La symbolique du mal を読む

[授業の概要・目的]

『悪のシンボリズム』は、ポール・リクールが「意志の哲学」の第2巻『有限性と罪責性』の第2分冊として1960年に刊行した著作である。この著作は、リクール哲学が「解釈学」へと変貌する転機となっただけでなく、同時期に刊行されたガダマーの『真理と方法』と共に、20世紀後半の解釈学的哲学を方向づける記念碑的な著作となった。 
 本演習では、この著作の序論を中心に精読していくことによって、哲学と宗教において「解釈」という営みがもつ意義と射程について、共に考察していきたい。

[授業計画と内容]

第1回 導入
  テクストを読み進める上で必要な予備知識の解説を行う。
第2回‐14回
  リクール『悪のシンボリズム』の序論を1回当たり2,3頁のペースで読み進めていく。
第15回
  論文の全体を振り返り、疑問点等について出席者全員で討議を行う。

*フィードバックの方法は授業中に指示する。

後期水5 杉村靖彦 演習 Vladimir Jankelevitch, La mort を読む

[授業の概要・目的]

ここ10年来、哲学や宗教が長らく根本問題の一つとしてきた死や死者という問題が、たとえば「死生学」といった新たな意匠の下で盛んにとりあげられてきたが、その際「一人称の死」「二人称の死」「三人称の死」という区分法が自明の事のように用いられてきた。それを最初に提示したのが、ジャンケレヴィッチの大著『死』(1966)である。死の三区分が便利な符牒として独り歩きする一方で、独自の用語を駆使し濃密な文章で展開されるこの著の叙述自体は、ほとんどまともに理解されていないとい言っても過言ではない。
今期の授業では、昨年度に続いて、この著の第2部「死の瞬間における死」の第3章「不可逆なもの」および第4章「取り消しえないもの」から重要箇所を抜粋して読み、ジャンケレヴィッチの独特の形而上学的思索が死の問いへと迫る仕方を精密に理解することを目指す。
[授業計画と内容]

第1回 導入
  テクストを読み進める上で必要な予備知識の解説を行う。
第2回 第2部前半までの内容紹介
  昨年度の演習で取り上げた箇所を中心に紹介する。
第3回‐14回
  ジャンケレヴィッチ『死』の第2部「死の瞬間における死」の第3章と第4章から抜粋した箇所を、1回当たり2頁程度のペースで精読していく。
第15回
  読み終えた箇所全体を振り返り、疑問点等について出席者全員で討議を行う。

*フィードバックの方法は授業中に指示する。

前後期木3 下田和宣 講読 宗教/世俗の系譜学  タラル・アサド『宗教の諸系譜』を読む

[授業の概要・目的]

いわゆる「宗教概念論」の基礎文献である、現代の宗教研究者タラル・アサド(Talal Asad)の 主著『宗教の諸系譜』(Genealogies of Religion, 1993)を読む。
 「宗教」の概念は、ヨーロッパ近代、とりわけプロテスタンティズムの刻印を強く受けたもので あり、他文化における信念・儀礼大系に対する適切な解釈フレームとは原理的になりえない、にも かかわらずこれまで無反省に自明なものとして語られてきた――こうした宗教概念批判の視点は、 今日において「宗教」を考えるうえで不可欠なものであろう。とはいえ、その結論のみを受容し、 いわゆる「宗教」ないし「宗教学」の「死」を宣言するだけでは、それらに代わる健全中立で無色 透明の代替概念があるわけではない以上、「宗教」をめぐる現状を適切に理解することからはむし ろ離れてしまう危険もある。
 そこで本授業では、宗教概念論の批判的結論の手前にあり、それを導き出す研究手法としての「 系譜学」に着目する。「宗教」をめぐる言説の歴史的・文化的形成に立ち返り、概念をそのコンテ クストへと引き戻すことは、一方で暴露的・批判的なあり方を取るが、他方であくまでも歴史的探 求であろうとする。アサドのテクストが持つそうした側面に着目することで、概念批判論の抽象性 に満足するのではなく、歴史形成の文脈探査という形での(本質的に複数かつ多様な)宗教研究の 可能性を理解することが、本講読の目的となる。

[授業計画と内容]

(前期)

『宗教の諸系譜』の記述は、複数のアプローチを備えたものである。アサドによる系譜学的探究を 理解するために、前期ではそのなかでもとりわけ第一章「人類学の範疇としての「宗教」の構築」 を読む。宗教を「シンボル」の文化システムであると理解するクリフォード・ギアツの理論がそこ での分析対象となるので、ギアツや、さらにそれを遡るところのカッシーラー哲学についても適宜 目を配りつつ読解を進めたい。

第1回 イントロダクション
西洋における宗教(religion)の歴史について概観しつつ、その批判としての宗教概念論を確認する。 そこから、アサド『宗教の諸系譜』の見取り図を示す。そのうえで、授業の進め方、および扱うテ キストについて説明し、訳読の割り当てを決める。

第2回~第14回 『宗教の諸系譜』第一章を読む
担当者は英文訳読の用意をする(一回の担当でだいたい半ページくらい)。原典に対する正確な理 解のために、アサドが行う引用についても、調べてみる。段落ごとに内容要約を行い、その理解に ついて議論する。

第15回 フィードバック
全体を振り返り、残された課題や問題点などについてまとめ、議論する。

(後期)

前期に引き続きタラル・アサドを扱うが、『宗教の諸系譜』と問題的に関連する『世俗の諸形成』(Formations of the Secular, 2003)が後期講読の対象である。
 「宗教」の反対語として真っ先に思い浮かぶのは「世俗」だろう。ところでこの対概念の布置状況が形成されたのは、まさにヨーロッパ近代においてであった。近代科学一般に通底する(がゆえに見えなくなっている)基本的スタンスとして、「世俗」は「宗教」からの分離を要求し、自身の自律性を主張する。そのとき「宗教」は、そこから切り離され排除されるべき対象領域として見なされる。その排除の身ぶりによって、脱宗教化・脱神話化としての「世俗化」の過程は、「宗教」概念の伝統的理解を強力に変形するのである。こうして「世俗」概念を研究することは、「宗教」の系譜学を補完するための不可欠な作業となる。
 今日において顕著なのは、「世俗」から切り離され縮小されたはずの「宗教」が再びいろいろな局面において語られるという事態である。いわばこの「宗教の回帰」において、宗教/世俗の二分法が何を意味していたのか、その自己主張によって規定されていた「ヨーロッパ近代」とはどのような時代だったのか、根底的に問い直されるのである。そうした「ポスト世俗主義」の時代状況を引き受けながら、しかしそれを素朴に権威化するのではなく、なお事態の理解を試みようとするのであれば、「宗教/世俗」の歴史的(諸)形成へと向かうアサドの系譜学的視点は、ひとつの有効な参照軸となりうるだろう。

議論の前提となる「世俗」(secular)、「世俗主義」(secularism)、「世俗化」(secularisation)は非常に錯綜した経緯を持つ諸概念である。それらを解きほぐすためには、テクストの読解と並び、60年代ドイツにおける世俗化論争(ブルーメンベルク、レーヴィット、カール・シュミット等)をはじめ、最近の「ポスト世俗主義」についての議論(ハーバーマス、チャールズ・テイラー等)に配慮することも有効であろう。授業ではそれらの文脈も積極的に考慮したい。

第1回 イントロダクション
前期の復習、「世俗」をめぐる諸議論についての概説、授業の進め方および扱うテキストについて説明する。訳読の割り当てを決める。

第2回~第14回 『世俗の諸形成』第一章「世俗主義の人類学とはどのようなものであろうか?」を読む
担当者は訳読の用意をする。原文および議論の背景に対する正確な理解のために、事項の調査を積極的に行う。段落ごとの内容要約を行い、その理解について議論する。

第15回 フィードバック
全体を振り返り、残された課題や問題点などについてまとめ、議論する。

通年金2 竹内綱史 演習 ニーチェ『悲劇の誕生』演習

[授業の概要・目的]

本演習では、ニーチェの哲学上の処女作『悲劇の誕生』(1872年)を精読する。同書は古典文献学の本として書かれてはいるが、当時の文化状況に一石を投じる意図のもと様々な問題意識が詰め込まれており、すでにニーチェ哲学の中心的な発想がすべて揃っているといっても過言ではなく、哲学史的にも一つの画期をもたらした本である。本演習ではその精読を通じて、ニーチェ哲学の核心を理解するとともに、後に「ニヒリズム」として論じられるようになる問題について検討したい。

[授業計画と内容]

第1回 イントロダクション
 『悲劇の誕生』という著作の概要や背景について解説する。基本的な訳書や概説書・注釈書などを紹介し、授業の進め方について周知する。
第2回~第14回 『悲劇の誕生』精読
 『悲劇の誕生』の第1節から精読する。テクストの一語一句について全員で議論する。毎回プロトコル担当者を決め、授業の最初に前回のプロトコルを発表してもらいそれについて検討してから、続くテクストの精読を行う予定。
第15回 前期まとめ
 前回まで読み終わった箇所についてまとめ、残された疑問点などについて全員で議論する。切りの良いところまで読了できていない場合、この回をあてることもある。
第16回 後期イントロダクション
 前期に読み進めた箇所について、残された課題等を確認する。必要に応じて、最新の研究動向についても紹介したい。
第17回~第29回 『悲劇の誕生』精読
 前期の続きを、前期と同じ形で精読する。
第30回 まとめ
 前回まで読み終わった箇所についてまとめ、残された疑問点などについて全員で議論する。切りの良いところまで読了できていない場合、この回をあてることもある。

前期金4、後期金3 安部浩 演習 ハイデガーのニーチェ講義を読む

[授業の概要・目的]

ハイデガーのニーチェ講義。それは、ハイデガーその人の一見秘教的と思しき中期以降の思想を理解する上でも、ニーチェの後期哲学の高峰を踏査する上でも、避けて通ることのできない文献である。しかのみならず、ハイデガーやニーチェの思想との関連を別にしても、それは哲学の根本問題を自ら考える上で実に多くを教えられる、滋味掬すべき必読の書である。 
この大部の著作の第一巻、第一部を冒頭から繙読し、議論を戦わせていくことで、われわれは、藝術、永劫回帰、認識、形而上学、真理、存在等をめぐる問題系に関する考察に努めることにしよう。そしてそれにより、語学・哲学上の正確な知識、及び論理的思考力に基づく原典の厳密な読解力を各人が涵養すること、そしてこの読解の過程において浮上してくる重要な問題をめぐる参加者全員の討議を通して、各人が自らの思索を深化させていくことが、本演習の目的である。

[授業計画と内容]

原則的には毎回、予め指名した二名の方にそれぞれ、報告と演習の記録を担当して頂くことにする。以下、各回に扱う予定である原典の範囲を記すが、授業の進度については出席者各位の実力を勘案して修正することもある。

(前期)
1. ガイダンス
2. Wille und Macht. Das Wesen der Macht
3. Die Grund- und die Leitfrage der Philosophie
4. Die fuenf Saetze ueber die Kunst
5. Sechs Grundtatsachen aus der Geschichte der Aesthetik
6. Der Rausch als aesthetischer Zustand (1)
7. Der Rausch als aesthetischer Zustand (2)
8. Kants lehre vom Schoenen. Ihre Missdeutung durch Schopenhauer und Nietzsche
9. Der Rausch als formschaffende Kraft
10. Der grosse Stil (1)
11. Der grosse Stil (2)
12. Die Begruendung der fuenf Saetze ueber die Kunst
13. Die erregende Zwiespalt zwischen Wahrheit und Kunst
14. 総括と総合討論

(後期)
1. ガイダンス
2. Wahrheit im Platonismus und im Positivismus. Nietzsches Versuch einer Umdrehung des Platonismus aus der Grunderfahrung des Nihilismus
3. Umkreis und Zusammenhang von Platons Besinnung auf das Verhaeltnis von Kunst und Wahrheit
4. Platons Staat: Der Abstand der Kunst (Mimesis) von der Wahrheit (Idee) (1)
5. Platons Staat: Der Abstand der Kunst (Mimesis) von der Wahrheit (Idee) (2)
6. Platons Phaidros: Schoenheit und Wahrheit in einem beglueckenden Zwiespalt (1)
7. Platons Phaidros: Schoenheit und Wahrheit in einem beglueckenden Zwiespalt (2)
8. Nietzsches Umdrehung des Platonismus
9. Die neue Auslegung der Sinnlichkeit und der erregende Zwiespalt zwischen Kunst und Wahrheit
10. Die Lehre von der ewigen Wiederkunft als Grundgedanke von Nietzsches Metaphysik
11. Die Entstehung der Wiederkunftslehre
12. Nietzsches erste Mittelung der Wiederkunftslehre “Incipit tragoedia”
13. Die zweite Mitteilung der Wiederkunftslehre
14. 総括と総合討論

金4・5(隔週) 杉村靖彦 演習Ⅱ 宗教哲学基礎演習

[授業の概要・目的]

宗教哲学の諸問題を考えるための基礎となる文献を選び、宗教学専修の大学院生にもチューターとして協力を仰ぎながら、それらを共に読み進み、問題を掘り起こし、議論を行う場となる授業である。授業への能動的な参加を通して、より専門的な研究への橋渡しになるような知識と思考法の獲得を目指す。
宗教学専修の学部生の必修授業であるが、哲学と宗教が触れ合う問題領域に関心をもつ2回生、および他専修学生の参加も歓迎する。

[授業計画と内容]

(前期)
「人間とは何か」という問い、あるいはそのように問うことが宗教哲学においていかなる意味をもつかという問いを導きとして、九鬼周造「人間学とは何か」(1938)と西谷啓治「現代における人間の問題」を共に通読していく。各回2,3人の担当者を決め、授業の前半は、担当者の内容要約および考察の発表に充てる。授業の後半では、教員の司会進行の下、発表内容をめぐって、チューターの大学院生たちも交えて、質疑応答と議論を行っていく。隔週授業のため、全7回として各回のテーマを記しておく。(詳細は変更の可能性あり)

1. オリエンテーション
2. 九鬼周造「人間学とは何か」(1)
3. 九鬼周造「人間学とは何か」(2)
4. 九鬼周造「人間学とは何か」(3)
5. 西谷啓治「現代における人間の問題」(1)
6. 西谷啓治「現代における人間の問題」(2)
7. 総括

*フィードバックの方法は授業中に指示する。

(後期)
宗教哲学の基本文献といえる著作や論文を選んで各回の授業に割り振り、事前に出席者に読んできてもらう。そして、毎回教師とチューター役の大学院生の解説をもとに、質疑応答と議論を行っていく。また、卒論向けの発表の際には、論述の仕方や文献の扱い方なども指導し、論文の書き方を学ぶための機会とする。
隔週の授業のため、全7回として各回のテーマを記しておく。なお、どのような文献を取り上げるかは、前期の「宗教哲学基礎演習A」の様子を見て決めることにする。それによって、各回で取り上げる文献の種類も、以下の記したものとは異なる可能性もある。

第1回  オリエンテーション・卒業論文の中間発表
第2回  宗教哲学の基本文献(近代イギリス)の読解・解説・考察
第3回  宗教哲学の基本文献(近代フランス)の読解・解説・考察
第4回  宗教哲学の基本文献(近代ドイツ)の読解・解説・考察
第5回  宗教哲学の基本文献(現代フランス)の読解・解説・考察
第6回  宗教哲学の基本文献(現代ドイツ)の読解・解説・考察
第7回  宗教哲学の基本文献(京都学派の哲学)の読解・解説・考察 

*フィードバックの方法は授業中に指示する。

金4・5(隔週) 杉村靖彦 演習Ⅱ 宗教学の諸問題

[授業の概要・目的]

演習参加者が、宗教学の諸問題のなかで各人の研究するテーマに即して発表を行い、その内容をめぐって、全員で討論する。討議のなかで、各人の研究を進展させることが目的である。

[授業計画と内容]

参加者が順番に研究発表を行い、それについて全員で討論する。各人の発表は二回にわたって行う。即ち、発表者は1時間以内の発表を行い、続いてそれについて討論する。発表者はその討論をうけて自分の発表を再考し、次回にその再考の結果を発表して、それについてさらに踏み込んだ討論を行う。したがって、1回の授業は前半と後半に分かれ、前半は前回発表者の二回目の発表と討論、後半は新たな発表者の一回目の発表と討論となる。
第1回 オリエンテーション、参加者の発表の順番とプロトコールの担当者を決定。
第2回ー8回 博士課程の院生による発表と全員での討論。
第9回-14回 修士課程の院生による発表と全員での討論。
第15回 総括。

前期集中 下田正弘 特殊講義 仏教思想論――歴史と解釈――

[授業の概要・目的]

仏教学は、洋の東西の人文学が邂逅して出現した近代人文学の縮図であり、その研究史には、近代から現代に至るまでの種々の思想的課題が、潜在的なかたちで胚胎されている。本講義は、近代における仏教研究の歴史を概観し、そこにふくまれた思想的課題を、歴史学と解釈学の弁別と調和という観点から照らし出す。

[授業計画と内容]

(研究史批判)
第1回 知の対象としての仏教
第2回 仏教歴史化の困難と歴史的ブッダ像の創出
第3回 先行形象化としての初期仏教
第4回 線的史観からトポスへ――大乗仏教研究の現在
(方法論の多様化)
第5回 社会人類学からの挑戦
第6回 文献外世界の仏教
第7回 東西思想が融合する研究パノラマ
(聖典、聖人、トポス)
第8回 聖典としての仏教
第9回 非言語的エクリチュールと仏典
第10回 聖人と場
(仏教思想概観)
第11回 無我から空へ――仏教思想の根底
第12回 二真理説の意義――言語と存在
第13回 意識の奥底へ――体系的思想としての唯識
第14回 仏の内部から外部へ――如来蔵思想
第15回 総括

Courses 2019

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2019年度前期

Mon Tue Wed Thu Fri
8:45-10:15 ギリシア語4時間コース (広川直幸講師) ラテン語2時間コース (勝又泰洋講師) ギリシア語4時間コース (広川直幸講師)
10:30-12:00 ラテン語4時間コース (佐藤義尚講師) 講読 Xenophon Anabasis (山下修一講師) 特殊講義 Integrated course of Attic Greek Γ(Martin Ciesko准教授) ラテン語4時間コース (佐藤義尚講師)
13:00-14:30 演習 Integrated course of Attic Greek B(Martin Ciesko准教授) 特殊講義 Siliius Italicus Punica III-IV(高橋宏幸教授)
14:45-16:15 講読 Caesar de Bello Gallico II (高橋宏幸教授) 特殊講義 Siliius Italicus Punica III-IV(高橋宏幸教授)
16:30-18:00 演習 Cicero in Catilinam I-II, pro Caelio(高橋宏幸教授) 演習 Integrated course of Attic Greek A(Martin Ciesko准教授) ギリシア語2時間コース (西村洋平講師)

2019年度後期

Mon Tue Wed Thu Fri
8:45-10:15 ギリシア語4時間コース(広川直幸講師) ラテン語2時間コース (勝又泰洋講師) ギリシア語4時間コース(広川直幸講師)
10:30-12:00 ラテン語4時間コース (佐藤義尚講師) 講読 Herodotus Historiae (山下修一講師) 特殊講義 Integrated course of Attic Greek Γ(Martin Ciesko准教授) ラテン語4時間コース(佐藤義尚講師)
13:00-14:30 演習 Integrated course of Attic Greek B(Martin Ciesko准教授) 演習 Catullus (平山晃司講師)
14:45-16:15 講読 Caesar de Bello Gallico III (高橋宏幸教授)
16:30-18:00 演習 Cicero in Catilinam I-II, pro Caelio(高橋宏幸教授) 演習 Integrated course of Attic Greek A(Martin Ciesko准教授) ギリシア語2時間コース (西村洋平講師) 講義:History of Roman Theatre(高橋宏幸教授)

 

昨年度以前の時間割

上海の復旦大学文史研究院において、第七回東アジア人文研究博士学生ワークショップが開催されました。

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3月18日~23日に、上海の復旦大学文史研究院において、第七回東アジア人文研究博士学生ワークショップが開催され、京都大学文学研究科の中国語学中国文学専修、中国哲学史専修、地理学専修、社会学専修の大学院生14名、ならびに木津祐子教授、池田恭哉准教授が参加しました。 このワークショップは、2013年より上海の復旦大学と京都大学の合同で行われてきました。初回の開催は京都、以降は上海と京都とで交互に開催されてきましたが、2017年より香港城市大学も加わって、三校合同のワークショップとなりました。今回が7回目となります。 今回のワークショップに参加した学生は、復旦大学21名(主催校)、香港城市大学8名、そして京都大学14名の計43名を数え、それぞれに充実した研究発表を行いました。19日は開幕式に引き続き、三校が合同で調査を進めてきた京都大学所蔵の「苗蛮図」について三校の学生たちが多角的に報告を行い、それに対して復旦大学・葛兆光教授による広い視野に立った講評がなされました。
19日午後から20日にかけては、「早期中国の歴史・文献・言語の考証」「分裂時代の宗教と文学」「唐代の宗教と文学」「宋遼金時代の社会集団と思想」「明清時代と東アジア海域」「芸術史の集中討議:図像と歴史研究」「思想史の集中討議:東アジア世界の近代的転換」「現代に向かう東アジア世界」「東アジア社会と都市研究」の9セッションが設定され、各大学の学生が司会進行を務める中、中国語・英語を駆使した多彩な研究発表(時間20分)が展開されました。また全セッションで学生らが講評の任を担い、発表のまとめを行いながら的確な問いを提起したことで、所定の時間を最大限に使った活発な意見交換が繰り広げられ、議論し尽くせなかった問題は、三校の教員5名も参加した最後の総合討論、さらには夜の懇親会の場に持ち越されました。 21日からは杭州への実地見学が行われました。21日の早朝に上海を出発し、午後は道中で良渚遺跡を参観しました。今からおよそ五千年前に現在の杭州市の西に花開いた良渚文化は、上流階級の墓室に埋蔵された多種多様な玉器によって有名であり、良渚遺跡博物院では、それら玉器ほかの出土品を、博物院スタッフの丁寧な案内によって参観できただけでなく、実際の宮殿の遺構にも踏み入れるという幸運に恵まれ、現地に行ってこそ実感できるスケールに圧倒されました。 22日は浙江省博物館にて浙江省の歴史をたどり、昼食には法喜寺で供される素食(精進料理)を味わいました。また杭州といえば、中国に数あるお茶の中でも評判の高い龍井茶の産地として世界に名を馳せますが、今回はその茶畑が広がる龍井村に行き、中国のお茶文化を体験しました。また最後には杭州の名刹たる霊隠寺を参拝し、実に盛りだくさんの見学内容でした。お茶と寺院は、ともに日本にもありますが、その味わいや結構、歴史の面で日本とは異なる部分も多く、その両者の対比を通じて様々なことを考えさせられ、さらにそれを発端として三校の学生間でも対話が広がり、大変に有意義なツアーだったと言えます。 今回で7回目となる本ワークショップでは、何度目かの参加になる学生同士がうまく意思を疎通し、また以前のワークショップに参加した上海近郊在住のOB・OGも準備や各セッションのコメンテーターとして運営に関わり、これまで以上に学生主体の形式となりました。今後も三校の関係を緊密にしていけば、より大きな成果が出るに違いないと確信させる、充実のワークショップでした。

ワークショップの様子は、こちらをご覧ください。

本事業は、下記の助成を受けました。
(1)京都大学重点戦略アクションプラン「京都大学・復旦大学・香港城市大学三校合同の京都大学所蔵東アジア関連文物研究」
(2)一般財団法人 橋本循記念会 調査・研究助成「京都大学蔵「苗蛮図」および和製中国古地図の総合的研究」
(3)アジア研究教育ユニット2018年度事業「復旦大学—京都大学—香港城市大学「東アジア人文研究討論会」」

卓越した課程博士論文の出版助成制度

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平成31年度総長裁量経費を得る予測のもとに、京都大学文学研究科における卓越した課程博士論文の出版助成事業を行います。

これは、過去5年間に課程博士論文として審査された論文を対象に公募・審査のうえ、最も優れたもの数点を選んで出版助成を行うものです。

文学研究科博士後期課程を修了された若い研究者の皆さんには奮って応募してくださることを願います。

詳しくはこちらをご覧ください。

平成30年度卓越した課程博士論文の出版助成制度による成果が刊行されました

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平成30年度京都大学総長裁量経費による「卓越した課程博士論文の出版助成事業」への応募があった平成25年4月から30年3月までの博士(文学)学位論文から選考を経て、下記の6冊の書物が刊行されました。

 

下田 和宣

『宗教史の哲学 後期ヘーゲルの迂回路』京都大学学術出版会、2019年2月20日刊、xviii+439頁

 

植田 尚樹

『モンゴル語の母音 実験音声学と借用語音韻論からのアプローチ』京都大学学術出版会、2019年3月31日刊、xviii+370頁

 

岩本 真利絵

『明代の専制政治』京都大学学術出版会、2019年3月31日刊、viii+426頁

 

松原 冬二

『アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ イタリアをめぐる幻想の美学』(株)水声社、2019年3月30日刊、ii+388頁

 

川本 愛

『コスモポリタニズムの起源 初期ストア派の政治哲学』京都大学学術出版会、2019年2月20日刊、vi+205頁

 

井口 暁

『原発事故と放射線リスクはどのように語られたのか ポスト3・11のリスク社会学』ナカニシヤ出版、2019年3月31日刊、vii+455頁


人社未来形発信ユニット 第1回全学シンポジウム「アジア人文学の未来」のご案内(4/27)

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本学では、本学指定国立大学法人構想の重点課題の一つである「人文・社会科学の未来形発信」
の実施主体として、「人社未来形発信ユニット」を設立しました。 このユニットでは、本学における学際的・部局横断的研究の促進や成果発信、およびそのための体制
整備を行っていきます。 さて、この度、ユニットの第1回シンポジウムを開催する運びとなりましたのでご案内申しげます。 —————————————————————–
京都大学人社未来形発信ユニット 第1回全学シンポジウム「アジア人文学の未来」
http://ukihss.cpier.kyoto-u.ac.jp/symposium/20190427-2/
・日時:2019年4月27日(土)13:00~17:40
・会場:京都大学百周年時計台記念館1階百周年記念ホール
・参加費用:無料
・定員:500名(先着順)
・お申し込み:https://business.form-mailer.jp/fms/07354bc1100436 よりお申し込みください。 京都大学が百年以上にわたり蓄積してきた「アジア人文学」の伝統を踏まえつつ、批判的視点で「未来形」
を考え、社会へ発信するシンポジウム。

京都大学が世界に誇る知の伝統である
・西田幾多郎、田邊元らの『京都学派の哲学』
・内藤湖南、宮崎市定らの『東洋史研究』
・今西錦司、梅棹忠夫らの『フィールド学』

について、世界一線級の研究者が集い、対話・議論し、京大のアジア人文学の姿を立体的に浮かび上がらせ
ます。 ・プログラム詳細
http://ukihss.cpier.kyoto-u.ac.jp/symposium/20190427-2/ ・お問い合わせ
ukihss*bun.kyoto-u.ac.jp (アドレスの*を@にしてください)

2019年度 開講授業

2018年度 記事一覧

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【溝口彰子先生トークイベント開催(5/13(月)】

第161回CAPE(応用哲学・倫理学教育センター)レクチャーのお知らせ

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4月25日(木)に、Thomas P. Kasulis教授によるCAPEレクチャーが開催されます。 詳しくはこちらからご覧ください。
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