2019年度 カーブル博物館学芸員研修プログラム開催報告
12月2日から13日にかけての約2週間をかけて、京都大学においてカーブル博物館学芸員研修プログラムがおこなわれました。カーブル博物館の学芸員を招いた研修は、2010年よりウィーン大学と京都大学において断続的におこなわれてきました。2013年度に続き第2回目となる今回の京都大学での研修は、人文科学研究所が中心となり、本センターがプログラムの一部を分担しました。カーブル博物館から館長と3人の学芸員を招いたほか、ウィーンからも3人の教員を招いて、歴史学・美術史学・考古学・貨幣学などの多分野の専門家による講義やセミナーがおこなわれ、アフガニスタンの歴史および文化についての活発な議論を通した研修がなされました。
本センターでは、土器実測方法についての実習、アフガニスタン・パキスタンにおける京大隊の過去の活動についての講義、彫刻の素材についてのセミナーなどをおこないました。土器の実測という考古学における基本的な作業が十分になされなかったアフガニスタンにおいて、今後は彼らによって土器にかかわる情報が提示されることを期待します。また、過去の京都大学の調査隊が現地調査で重視した、基礎的な調査データの提示の重要性を彼らに伝えられたのではないかと思います。
なお、12月7日に文学研究科で開催された2019年度京都大学文学研究科・文学部公開シンポジウム「文化遺産の現在(いま)」の、アフガニスタンの文化遺産を扱ったセッションにも、全員が出席しました。セッションの終わりに際して、ウィーン大学のデボラー・クリンブルク=ソルター教授とカーブル博物館のモハンマド・ファヒーム・ラヒーミー館長より、京都大学の現在の取り組みについてのコメントをいただきました。本センターが担当した研修プログラムが、現地で文化遺産の研究や保護に向けた作業をおこなう研究者にとって意味のあるものとなることを願っています。