2014年度の授業(当年度講義題目より抜粋・各授業の詳細については文学研究科ウェブサイト・在学生向け情報を参照)
◆講義◆
宇佐美文理(教授) 中国哲学史講義(Ⅰ)[前期]
中国哲学の基本概念を講義し、中国哲学ならびに中国文化への理解を深める。
宇佐美文理(教授) 中国哲学史講義(Ⅱ)[後期]
中国哲学史上の重要な書物について、その書物が学問全体においてもつ位置とその内容についての知識を深める。
◆特殊講義◆
宇佐美文理(教授) 文献学研究
黄丕烈の『士禮居蔵書題跋記』を講読することを通して、中国の文献学に関する知識を深める。
武田時昌(協力講座・人文科学研究所教授) 老子を読む[前期]
中国的思惟は、老子と易を思想源とする。老子は道教、易は儒教のそれぞれの聖典であったが、両書が主張する自然哲学、処世観はきわめて類比しており、道家と儒家、老子と孔子という学派的な対立の図式にあるというより、むしろ相補的な関係にあった。したがって、両書の読まれ方は、宗教哲学と政治思想という枠組みを逸脱して多角的、横断的であり、その往来、交差する場所に中国思想の基層構造が形成された。そこで、前期は老子の特色的な言説を選読しながら、古今の人々にどのように読まれてきたかを検討し、中国的パラダイムの本質を探る。
武田時昌(協力講座・人文科学研究所教授) 易を読む[後期]
中国的思惟は、老子と易を思想源とする。老子は道教、易は儒教のそれぞれの聖典であったが、両書が主張する自然哲学、処世観はきわめて類比しており、道家と儒家、老子と孔子という学派的な対立の図式にあるというより、むしろ相補的な関係にあった。したがって、両書の読まれ方は、宗教哲学と政治思想という枠組みを逸脱して多角的、横断的であり、その往来、交差する場所に中国思想の基層構造が形成された。そこで、後期は易の特色的な言説を選読しながら、古今の人々にどのように読まれてきたかを検討し、中国的パラダイムの本質を探る。
井波陵一(協力講座・人文科学研究所教授) 漢籍目録法漢籍目録の作成要領[前期]
漢籍目録の作成要領を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。
井波陵一(協力講座・人文科学研究所教授) 漢籍分類法[後期]
四部分類法を理解することを通じて、中国学の基礎構造を把握する。
船山徹(協力講座・人文科学研究所教授) 偽経(中国撰述経典)を読む1
中国中世の仏教史の実態を知る上で偽経(疑経,中国成立の偽作経典)は重要である。この授業では偽経の特徴を理解し,その典型的な例として『菩薩瓔珞本業経』を精読する。
近藤浩之(北海道大学准教授) 『易』と術数の論理
馬王堆漢墓帛書『周易』と関連資料の読解を通じて、戦国時代から漢代にかけての『易』と術数に関する諸言説について、その思想と論理(思考方法)に対する理解を深める。
中国古代における『易』とそれをめぐる術数の論理の展開を、出土文字資料を含む原典に即して把握するとともに、原典を根拠にして思想史を再構成していく手法を身につける。
◆演習◆
宇佐美文理(教授) 『国朝文録』精読
古典文献の講読を通して、漢文読解力を養うと共に、中国文化への理解を深める。
吉本道雅(本研究科東洋史学専修教授) 『春秋左伝正義』
十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を精読する。漢文資料を文法的に正確に読解する能力を身につけるとともに、経学(中国古典注釈学)の基礎的な方法論・春秋時代史の研究資料としての活用法を理解する。
木下鉄矢(総合地球環境学研究所特別客員教授)→宇佐美文理(教授) 朱熹『大学章句』『大学或問』「経筵講義」対読
「四書」の冒頭に置かれる『大学』についての朱熹の注解・解説のテキスト三種を一節ごとに対照させながら読んで行きます。朱子学の中心的なテーマである「明徳」「格物致知」「理一分殊」などについての理解を、その思索の変化についての理解を含め、原典の読みから進めて行くことを目的とします。
古勝隆一(協力講座・人文科学研究所教授) 儒家経典注釈研究
中国南朝時代(4-6世紀)の儒教経典注釈を代表する、皇侃(488-545)『論語義疏』を精読する。本年度は、特にそのうちの郷党篇を読む。著者の皇侃は、『礼記』の注釈も書いた礼の大家であり、郷党篇の義疏を通じ、皇侃の礼学を理解することが、まず第一の目標である。
また、『論語義疏』の文体はやや難解なものであり、これを読みこなす読解力を養うことが、第二の目標である。
さらに、『論語義疏』には、本文批判上の問題が含まれているので、校勘学の知識を要する。
本書を読むことを通じて校勘学を実践をすること、これが第三の目標である。
そして、『論語義疏』の内容をこなれた日本語として訳出すること、これが第四の目標である。
以上、四点を目標に掲げ、同書を読み進めたい。
金志玹(人文・環境学研究科所准教授) 道教思想史文献講読[前期]
〔『陰符経』を読む〕
本演習の目的は、道教文献の特徴を理解し、当該文献の読解に当たって必要な工具書の使いかたを習得し、一次資料を使いこなす力を養うことにある。
前期は『陰符経』を読む。経文はわずか300字程度の短いものであるが、道教経典の中では士大夫階層にも広く読まれてきたものであり、唐宋以来数多い注釈が施され、諸子書として、内丹書として、さらには心性論の書物として、さまざまな解釈が行われてきたものである。『陰符経』はとりわけ『周易參同契』とともに宋元以来の中国、進んでは朝鮮と日本において重視されたが、その理由の一つは程子・朱子など宋儒から注目されたからである。演習では黄瑞節編の朱子『陰符経考異』を用い、北宋時代に編纂された『雲笈七籤』に収録された『黄帝陰符經』と比較しながら読む。注釈の相異な立場を比較することによって、古典の解釈史の展開について理解を深める。
金志玹(人文・環境学研究科所准教授) 道教思想史文献講読[後期]
〔『周易參同契』を読む〕
本演習の目的は、道教文献の特徴を理解し、当該文献の読解に当たって必要な工具書の使いかたを習得し、一次資料を使いこなす力を養うことにある。
後期は『周易參同契』を読む。『周易參同契』は六朝時代に漢代の易学に基づいて成立した煉丹書であり、五代以来の内丹伝統のなかで「丹経の王」とされてきたものである。宋元以来の中国、進んでは朝鮮と日本の文人の間に広く読まれてきたが、その理由の一つとしては、程子・朱子など宋儒から注目された点があげられる。演習では朱子の『周易參同契考異』を精読するが、それが基にしている五代彭曉の『周易參同契分章通真義』と比較しながら読む。注釈の相異な立場を比較することによって、古典の解釈史の展開について理解を深める。
◆講読◆
宇佐美文理(教授) 『経学歴史』講読
中国古典を読むための基礎知識を身に付け、漢文読解力の習得と向上を目的とし、同時に儒教の歴史についての知識を得る。