日韓若手西洋史研究者ワークショップ
(Japanese-Korean Joint Conference on Western History in Kyoto)の開催
2013年12月15日(日)・16日(月)の両日にわたり、西洋史学研究室では、上記の学術的イヴェントをとりおこないました。「西洋史」という学問分野を持つ東アジアの日本と韓国の間での学術交流を活性化し、それぞれの国で「西洋史」が抱える問題を念頭におきつつ、個々の若手研究者が国際的な学術発信方法に習熟するための場を設けることを目的にしたものです。
日本から5名、韓国から4名の報告者が英語での研究発表を行いました。詳細はプログラムをご覧ください。各人が25~30分の報告をし、それに対して、韓国側の発表には日本側が、日本側の発表には韓国側が、あらかじめペーパーを読んだ上でコメントを付し、それに応答してもらった後で全体討論をするという濃密な1時間のセッションを、2日にわたって全部で9つ持ちました。両日とも、西洋史学研究室の大学院生を中心に30名以上の参加者を得て、盛会でした。
韓国からは報告者4人に加え、2013年5月に京都大学で開かれた第63回日本西洋史学会大会の初日の全体シンポジウム「東アジアの『西洋史学』――国境を越えた対話をめざして」において、非常に刺激的な基調報告「世界史――ナショナル・ヒストリーへの布石」をしてくださった漢陽大学の林志弦(Lim Jie-Hyun)教授をはじめとする4人の先生方にも来ていただき、日本側参加者の方々と並び、すべてのセッションにおいてたいへん積極的に議論を盛り上げていただきました。
韓国の報告者の皆さんは、大学院生の方おひとりをのぞき、すでに欧米の研究機関で長く研鑽を積み、博士号を取得しておられましたので、当初考えていた「対等な大学院生同士の研究交流」とは少し主旨が変わってしまいましたが、それでも、日本側の報告者5人(西洋史学研究室の修士課程1名、博士課程3名、博士課程修了者1名)も、ほとんどが英語での報告ははじめて、という状況で、たいへん内容の濃い報告をし、質疑応答にもしっかり受け答えしていました。
一昔前まで、大学院生がこのような場で報告する機会がほとんどなかったことを思うと、時代の変化とともに、大学院生たちの資質についても、良い意味で感慨を深くいたしました。また、同じ学問を志す隣国の研究者と親睦を深めることの重要性も、あらためて認識できたように思います。両日ともに夕方からの懇親会でも大いに語り合うことができ、さらにこの催し物の意義が深まりました。
今回の経験を糧にして、大学院生をはじめ参加者全員が、今後の研究や国際交流をそれぞれの仕方で発展させていくことができるのではないかと期待しています。西洋史学研究室としてもこのような取り組みは初めてのことでしたので、手探り状態で企画しましたが、この経験をよりよい大学院教育の実現のために活かしていきたいと考えています。
以上
(なお、韓国側参加者の招聘などにかかる費用は「卓越した大学院拠点形成費」の支援を受けました。)