◆講義◆
宇佐美文理(教授) 中国哲学史講義(Ⅰ)[前期]
中国哲学の基本概念を講義し、中国哲学ならびに中国文化への理解を深める。
宇佐美文理(教授) 中国哲学史講義(Ⅱ)[後期]
中国哲学史上の重要な書物について、その書物が学問全体においてもつ位置とその内容についての知識を深める。
◆特殊講義◆
宇佐美文理(教授) 中国絵画理論研究
中国絵画の歴史を、気と形をテーマとして通観する。
武田時昌(協力講座・人文科学研究所教授) 老子を読む[前期]
科学的、実証的であろうとする人文学は、生きる知恵というサイエンスの原義に回帰すべきであ る。我々に告げられた「きっと何者にもなれない」という言葉は、「自分らしく生きる」ことであ ると読み替えられる。そのような行き方、考え方の中国的パラダイムは、老子と易を思想源とする。 中国的思惟は、老子と易を思想源とする。老子は道教、易は儒教のそれぞれの聖典であったが、 両書が主張する自然哲学、処世観はきわめて類比しており、道家と儒家、老子と孔子という学派的 な対立の図式にあるというより、むしろ相補的な関係にあった。したがって、両書の読まれ方は、 宗教哲学と政治思想という枠組みを逸脱して多角的、横断的であり、その往来、交差する場所に中 国思想の基層構造が形成された。 そこで、前期は老子の特色的な言説を選読しながら、古今の人々にどのように読まれてきたかを 検討し、中国的思惟の本質を探る。
武田時昌(協力講座・人文科学研究所教授) 老子を読む[後期]
科学的、実証的であろうとする人文学は、生きる知恵というサイエンスの原義に回帰すべきであ る。我々に告げられた「きっと何者にもなれない」という言葉は、「自分らしく生きる」ことであ ると読み替えられる。そのような行き方、考え方の中国的パラダイムは、老子と易を思想源とする。 中国的思惟は、老子と易を思想源とする。老子は道教、易は儒教のそれぞれの聖典であったが、 両書が主張する自然哲学、処世観はきわめて類比しており、道家と儒家、老子と孔子という学派的 な対立の図式にあるというより、むしろ相補的な関係にあった。したがって、両書の読まれ方は、 宗教哲学と政治思想という枠組みを逸脱して多角的、横断的であり、その往来、交差する場所に中 国思想の基層構造が形成された。 そこで、前期は老子の特色的な言説を選読しながら、古今の人々にどのように読まれてきたかを 検討し、中国的思惟の本質を探る。
井波陵一(協力講座・人文科学研究所教授) 漢籍目録法漢籍目録の作成要領[前期]
漢籍目録の作成要領を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。
井波陵一(協力講座・人文科学研究所教授) 漢籍分類法[後期]
四部分類法を理解することを通じて、中国学の基礎構造を把握する。
船山徹(協力講座・人文科学研究所教授) 『仁王般若経』読解1
『仁王般若経』という仏典は、漢訳(インド原典の中国語訳)ではなく、中国で作成された偽経( 疑経、偽作経典)であるという見方が優勢である。一般に偽経は中国中世の仏教史の実態を知る上 で重要である。『仁王般若経』は編纂当時の王権や仏教の実態を反映していると言われている。『 仁王般若経』には護国思想が説かれているという説明もしばしばなされる。この授業では、必要に 応じて注釈も参照しながら『仁王般若経』を前期後期の一年かけて精読し、その内容と、編纂の特 徴や意図、この経典の言語的特徴、成立地はどこか等、様々な角度から理解することを目指す。
伊東貴之(国際日本文化研究センター) 中国近世思想史における諸問題
この講義は、北宋期におけるいわゆる道学を中心とした宋学の成立以降、広義の新儒(NeoConfucianism)が思想界はもとより、現実社会においても深甚な影響力を有した宋・元・明・清の各 時代を経て、儒教思想の新たな展開がほぼ終熄し、伝統思想の社会的命脈がおおむね杜絶した清末 までを主な対象とする。 その際、理気論・人性論といった哲学・理論的なレヴェルでの変容を迹づけるだけでなく、より 実践的な人間観や倫理観、個別・具体的な政治論を含む多様な政治観の相剋・葛藤とその変遷、そ うした諸思想の政治社会や地域社会における受容の実態など、なるべく多角的・広角的かつ複眼的 に考究することを心掛ける。更に「主体」形成のための諸理論、「秩序」意識の変遷、「礼教」の 滲透と汎化、といった、いくつかの問題系に即した既存の思想史の再検討も試みたい。
◆演習◆
宇佐美文理(教授) 『国朝文録』精読
古典文献の講読を通して、漢文読解力を養うと共に、中国文化への理解を深める。
吉本道雅(本研究科東洋史学専修教授) 『春秋左伝正義』
十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を精読する。漢文資料を文法的に正確に読解する能力を身につけるとともに、経学(中国古典注釈学)の基礎的な方法論・春秋時代史の研究資料としての活用法を理解する。
中 純夫(京都府立大学 文学部 教授)『朱子言論同異攷』講読
朝鮮の朱子学者韓元震(1682~1751)の主著『朱子言論同異攷』を読む。同書は「理気」「理」 「陰陽」「五行」「天地」等の項目ごとに朱熹の言論の異同を指摘し、その早晩の鑑別や「定論」 の判定を企図したものである。授業は輪読形式で行い、担当者が作成した訳注原稿を受講者全員で 検討する。受講者には各自、同書所引の朱熹語の原典に当たり、異同の持つ意味を整理した上で、 韓元震の所論の是非を批判的に検証することを要求する。 テキストはソウル大学校奎章閣蔵『朱子言論同異攷』を使用する(プリント配布)。
古勝隆一(協力講座・人文科学研究所教授) 儒家経典注釈研究
中国南朝時代(4-6世紀)の儒教経典注釈を代表する、皇侃(488-545)『論語義疏』を精読する。 本年度は、特にそのうち八イツ篇を読む。 『論語義疏』の文章は読みやすくなく、しかも、『論語』全篇の中では難解な部分を選んで読むた め、受講者全員による事前の準備が必要である。あわせて、礼についての知識の習得も目指してい る。 本年度は、単に『論語義疏』の内容理解を目指すだけでなく、同書の内容をこなれた日本語に訳出 することを目標にしている。受講者の積極的な参加を期待する。 ◆講読◆
宇佐美文理(教授) 『日知録』講読
中国古典を読むための基礎知識を身に付け、漢文読解力の習得と向上を目的とし、同時に儒教の歴史についての知識を得る。