西洋史学専修はこのほど、ドイツのテュービンゲン大学(1477年創立)より古代史教授ミーシャ・マイヤー博士をお招きし、2度のセミナーと国際ワークショップを開催いたしました。「卓越した大学院拠点形成支援補助金」を受けておこなった活動です。
マイヤー教授は1971年の生まれで、後期ローマ帝国・初期ビザンツ帝国の歴史が第1の専門領域ですが、古代ギリシア史、とくにスパルタの歴史についても研究成果をあげています。
3月4日のセミナーでは、マイヤー教授から西洋史学専修の大学院生に、テュービンゲン大学に関する詳しい紹介がなされ、ドイツの大学での歴史学研究や大学の現状に関する質疑応答がなされました。3月5日のセミナーには西洋史学専修の大学院生に加えて、ギリシア史の専門研究者にも加わっていただき、博士の研究の歩みを聞いたのち、ギリシア史研究の今後について討論をしました。
3月8日に開催したワークショップでは、New Approaches to the Later Roman Empireをテーマに、ローマ帝国終焉期の研究に関する国際的な水準や動向を理解し新たな展望を開くことを目指しました。マイヤー教授と西洋史学専修博士後期課程の山下孝輔さんに加え、バーゼル大学講師ジョン・ヴァイスバイラー博士にも報告を依頼しました。ヴァイスヴァイラー博士はスイスとイギリスで学び、ケンブリッジ大学で博士号を取得された方で、京都大学白眉センター助教の藤井崇先生の招聘で来日されました。後期ローマ帝国史が専門分野です。マイヤー教授の報告には東京大学講師の田中創先生に、ヴァイスヴァイラー博士の報告には日本学術振興会特別研究員の南雲泰輔先生にコメントをお願いし、山下さんの報告にはマイヤー教授とヴァイスヴァイラー博士にコメントを依頼しました。
ワークショップは、冒頭、私、南川の挨拶と趣旨説明の後、藤井崇先生の司会進行でおこないました。後期ローマ帝国と初期ビザンツ帝国にかかわる専門的なワークショップで、英語を使用言語として実施しましたが、仙台や東京など、関西圏以外からも参加者があって、30名ほどの会合となり、会場とした小さな演習室では窮屈なほどでした。また、研究者だけでなく大学院生からも積極的な質問がたくさん出て、非常に意義深い会になりました。この成果は次年度にまとめて公表したいと考えています。参加くださった皆様に、主催者として御礼申し上げます。
2014年(平成26年) 3月
文責 南川高志(西洋史学専修教授)